釣った魚は、いくつかの準備と注意点を守れば、誰でも自宅の水槽で飼うことができます。実際に釣った魚を水槽内で観察することによって、エサの食べ方や泳ぎ方など、それまで気づかなかった発見もあり、それを釣りに応用したり、水族館では見ることのできないようすも観察できるため魅力があります。 大人にとっては癒しになり、子供にとっては生きものを育てる楽しさを実感できるよい機会。自由研究や観察学習の対象にもうってつけです。

海の魚(海水魚)を飼う

これから海水魚を飼育してみたい人におすすめなのが、タイドプール(潮溜まり)で見られる魚たちです。 なかでもハゼ類は水質の変化に強い種類もいて、たとえばアゴハゼやクモハゼなどは、タイドプールでよく見られ、簡単なエサ釣りでもねらいやすい魚です。

タイドプールにいるアゴハゼやクモハゼ。飼ってみると動きもユニークです

海の魚(海水魚)を飼うために必要な物

魚を飼うために最低限必要な物は「エアレーション」と「水槽」です。初心者でも飼いやすいアゴハゼなどは、この2点を準備しておけば飼える魚になります。ここからステップアップしていき、他の魚も飼育する場合は追加で「濾過フィルター」「砂や石」「照明」等を用意します。エサはよく釣りをする人なら、釣具店でイソメを購入して与えるのがよい方法です。 また、そのつど購入できない場合は 人工飼料等が観賞魚店やホームセンターなどで売られていますので、そちらを与えてもよいでしょう。ただ、魚種や個体によっては、人工飼料だと慣れて食べるようになるまでに時間がかかる場合があります。

海の魚は形もユニーク。まずはエアレーション(空気を送り込む)をしっかり行なえば元気に飼えます
海の魚は形もユニーク。まずはエアレーション(空気を送り込む)をしっかり行なえば元気に飼えます

釣って持ち帰る時の注意点

① ハリを飲み込まれないように釣る

飼育する魚を釣る時は、釣りバリを飲み込まれないように注意します。口の奥までハリを飲み込まれてしまうと、掛かり所によってはあとで死んでしまうためです。また、魚に掛かるストレスが最小限になるよう、ハリを外す時も水中で素早く行ないます。

② 水質変化に注意

海水を半分くらいまで入れたクーラーボックスで持ち帰ります。その時は電池式のエアレーションを持参し、エアレーションをしながら持ち帰るようにしましょう。持ち帰ったらすぐには水槽に入れず、ビニール袋等に持ち帰った海水ごと魚を入れてしばらく水槽に浮かべ、水温を同じにします。その後、少しずつ袋内の海水と水槽内の海水(専門店で購入できる人工海水のもとであらかじめ作っておきます)を混ぜながら、最後に魚を投入すると水質変化によって死亡する可能性を減らし、飼うことができます。

飼育を始めて数日間はエサを食べないことも多く、エサの与えすぎによる水質悪化に気をつけます。しばらく飼育してエサを与えていると、魚は徐々に懐いてくることも多いため、水槽の前に行くと“エサを食べたい!”とアピールしてくるなど愛らしい姿を見ることができるかもしれません。

川の魚(淡水魚)を飼う

淡水魚を飼う場合も、基本的な心構えは海の魚と同じです。身近な清流や小川で釣れる、オイカワウグイアブラハヤカワムツクチボソ、小さなマブナコイなどは、比較的丈夫で飼いやすいので、ぜひ挑戦してみるとよいでしょう。

クチボソなど身近な水辺で釣れる小魚も、実際に飼ってみると意外なほど飽きません

川の魚(淡水魚)を飼うために必要な物

淡水魚の場合、基本はメダカや金魚などの飼育セットがそのまま使えますので、必要なアイテムがあらかじめそろった飼育セットも入手しやすいのがメリットです。

ちょっとしたコツとしては、水槽の底に敷くものをメダカ用底床材として売られている黒玉土にすると、見栄えもよく水も濁らないので、見ためにもきれいなアクアリウムが出来上がります。さらに水槽の中で「奥を高く、手前を低く」黒玉土を敷くようにすると、小魚が好む傾斜ができ、なおかつ鑑賞する時の見栄えもよくなります。エサはタナゴやクチボソなどの口が小さい魚も食べられるものを用意しておくとよいでしょう。

淡水魚の飼育セットはホームセンターなどで手軽に入手できます。石や水草を追加購入し、レイアウトを工夫するのも楽しい作業です
淡水魚の飼育セットはホームセンターなどで手軽に入手できます。石や水草を追加購入し、レイアウトを工夫するのも楽しい作業です

水槽作りは難しくありません、ぜひ気軽にチャレンジして、アクアリウムライフを楽しんでみてください。

※このコンテンツは、2020年7月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。