以前、当コーナーでお届けした「野外で会いたくないイヤな虫対策」の記事では、蚊やアブ、ヒルの対策をまとめた。しかし渓流などの釣り場では、ほかにも会いたくない虫がいる。しかもより危険なのが、今回紹介するダニ、そしてスズメバチだ。

渓流釣りは楽しいが、やっかいな虫に出会うこともあるので要注意。イヤな虫対策は万全に!

小さいけれど危険なダニ

ダニの仲間に刺されることは、あまり多くない。だが釣り人は森や草むらを歩くことが多く、ダニと出会うこともある。しかも仮に刺された場合、危険度でいえばアブやヒルよりもランクが高い。というのも、ウイルスなどを媒介して病気を引き起こす可能性があるからだ。

ダニが媒介する病気として有名なのが、ツツガムシ病。ツツガムシリケッチアの感染によって引き起こされる。これは名前のとおり、ツツガムシの仲間が媒介する。

そのほか日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)や重症熱性血小板減少症候群など、ややこしい名前の感染症の原因になることがあり、ダニに刺されたら注意が必要だ。場合によっては死に至るし、最近でも死亡例が報告されている。

ダニが吸血するのを見ると、頭部が人間の身体に食い込んだような状態になっている。そのままダニの体を引っ張ってもなかなか抜けないし、頭部だけちぎれて残ってしまうことがある。またダニの体を押し潰すと、その中にあるウイルスが注射器のように人間に注入され、病気になるリスクを高めてしまうことがある。

吸血しているダニは、皮膚の中に頭が食い込んでいる。無理に引っ張ると頭が取れて化膿してしまう

よくいわれるのが、火を近づける方法。ダニが熱がって、自分から離れるのを待つわけだ。マッチや線香に火をつけ、火を消して赤くなったところを近づける。ただし、それでもなかなか離れないことがあるので、その場合は病院に行って取ってもらったほうがいい。

山では自分で取るしかないが、帰宅して見つけた場合は、病院に行くのが確実だ。なお、登山用品店などではダニに効く虫よけも売られている。ダニが多い場所へ行くのなら、試してみるとよいだろう。

ダニに効果のある虫よけもある。ダニが多いと分かっている場所へ行くなら、予防のために持参するのがおすすめ

ダニ対策 五ヶ条!

  • 其の一 
    ダニに効く虫よけを持参する。
  • 其の二 
    草むらや森の中を歩いた後は、ダニがついていないか確認する。
  • 其の三 
    もし刺されていたら、火種を近づけてダニが自ら離れるのを待つ。
  • 其の四 
    それでも取れなければ、無理をせずに病院へ。
  • 其の五 
    ツツガムシ病などの恐れもあるので、刺されたらとりあえず病院へ行くのがおすすめ。

クマよりも危険なスズメバチ

もうひとつ、危険な虫としてはスズメバチなどのハチ類が挙げられる。実はスズメバチ類に刺されて死亡する例は、クマやマムシによる死亡例よりはるかに多い。

雑木林などでもよく見かけるスズメバチ

スズメバチへの対策としては、まず香水や黒い服を避けること。これらはハチを興奮させ、攻撃されるリスクを高める。とはいえ、黒い服でなければいいのかといえば、そうでもない。実際に白い服でも襲われた話を聞く。また、虫が見ている色は人間とは異なるので、濃い色の服を着ていれば、やはり襲われる可能性はある。

秋はスズメバチに襲われる件数が増える季節。渓流釣りシーズンの最後に、ハチに刺されることがないよう気をつけたい。

ちなみにスズメバチはジュースなどに寄ってくる。缶のなかに入り込んで、それを知らずに飲んで刺されるという、想像するだにおそろしいことがあるようだ。

最もよいのは、巣に近づかないこと。渓流では、特に橋の下でスズメバチの巣を見ることが多い。橋をくぐる時には、必ず頭上に巣がないか確認しよう。また崖などで岩が張り出して屋根のようになっていると、その下に巣があるケースもある。要するに雨に濡れにくく、外敵が近づけない場所に巣を作るので、そのような場所では特に注意が必要だ。

スズメバチは樹液に集まるので、カブトムシやクワガタ採集の時に出会うことも多い
ハチに効く殺虫スプレーもある

やっかいなのは、土中に巣を作るスズメバチの仲間。これはうっかり踏んでしまうと、大群に襲われてしまう可能性がある。ハチが多いなと思ったら、とりあえず近づかないのが賢い選択だ。万が一刺されてしまったら、ポイズンリムーバーと呼ばれる毒を吸い出す器具で症状が軽減される可能性がある。

土の中に巣を作るクロスズメバチ。ハチのなかでは大人しいほうだが、群れで襲われたらたいへんだ

なおアナフィラキシーショックの可能性がある方は、特に注意が必要。これはごく短時間で全身に症状が出るアレルギー反応の一種。命にかかわるので、もし刺されたら、できるだけ早く病院へ行くべきだ。

スズメバチ対策 五ヶ条!

  • 其の一 
    黒っぽい衣類は避ける。また匂いの強い化粧品や香水は付けない。
  • 其の二 
    ハチが周囲を飛んでいたら、刺激せずにそっと離れる。
  • 其の三 
    橋の下をくぐる時など、巣がありそうな場所では周囲をチェック。
  • 其の四 
    刺されたらポイズンリムーバーでできるだけ毒を吸い出す。
  • 其の五 
    刺された後は体調に注意して、異常があれば速やかに病院へ。
※このコンテンツは、2019年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。