第5回

童心に返る川遊び! 清流の忍者を箱メガネ釣り
〜栃木のカジカ釣り編~

第5回は、栃木県でカジカをねらいます。カジカは日本の清流に生息する底生性の魚で、岩陰や流れの緩やかな場所を好む小魚。ゴツゴツした姿は、初めて見ると少し怖そうにも思えるのですが、実は可愛らしい顔をしており、さらに非常に美味しいのだとか。ただ、体は周囲に溶け込む保護色で警戒心が強く、忍者のようで釣りも一筋縄では行きません。そんなカジカに出会うべく、ユニークな釣りにチャレンジします!

山間の清流に残る
昔ながらの釣り!

こんにちは、加藤るみです。「海なし県」全8県をめぐって川釣りを制覇する旅も、いよいよ秋に突入! 今回はカジカ釣りにチャレンジです。

カジカは日本の清流に生息する小魚。しかし各地の川でダム建設や河川工事が進むときれいな水が流れる石と石の隙間が埋まっていき、多くの場所で姿が見られなくなっていきました。カジカはホタルと並んで、清流の指標的な生き物とされることもあります。

そんなカジカですが、栃木県では今も釣りが季節の風物詩として楽しまれています。一筋縄では行かないようですが、その魅力を体感すべく、私も挑戦してみることにしました!

【今回のチャレンジ】
清流に潜むカジカを
箱メガネ釣りでねらい、
山里に伝わる滋味を味わう!

10月初旬、FREEDでやって来たのは、栃木県日光市にある「青木屋」。鬼怒川(きぬがわ)が目の前を流れている人気の川魚料理店で、ここで今回の先生と待ち合わせです
カジカ釣りを教えてくれる荒山将行さん。生まれも育ちも栃木県で、長く釣具店のスタッフを務め、鬼怒川のアユ釣り、渓流釣り、そしてカジカ釣りに精通する名人です

カジカはきれいな水が流れる石と石の隙間に生息しています。栃木県を流れる鬼怒川や那珂川といった川は、もともとそうした場所が多かったのですが、さらに平野部を流れる区間が長いため、昔からカジカを釣りやすい環境にありました。

県内の釣具店では、釣りシーズンの秋になるとカジカ釣りコーナーが設置されます。釣りには日釣券(渓流釣り用と同じもの)が必要ですが、代表的な釣り場である鬼怒川水系なら11月いっぱい釣りができます。

主な釣りシーズンは秋なのでウエーダーを履くのがおすすめ。ウエーディングシューズは苔の生えた石の上でも滑りにくいフェルト底のものを選びます。川の中を歩く時に水中の石が見やすいと安全なので、偏光サングラスも用意します
釣り道具は石の隙間にエサを入れられる短いカジカザオ(右)、水中をクリアにのぞける箱メガネ(中)が必需品。そのほかに釣れたカジカを入れておく友釣りの引き舟(左)があると便利です
カジカザオの先にあるハリス止めにハリを短くセットし、エサを付けたら釣りの準備は完了。ハリはカジカバリやハゼバリを使います
エサは瓶に入って売られている釣りエサ用のイクラが定番。濡れると柔らかくなってしまうので、釣り中は取り出しがしやすいフタ付きの小型タッパーに入れて携行します
箱メガネは透明な底面(ガラスやプラスチックの面)を水中に入れてのぞくと、流れの中の様子がはっきり見える優れもの
ちなみに水中から見るとこんな感じ。カジカが見たら驚いちゃうかもです⁉

カジカが潜んでいそうな
石の隙間を探り当てろ!

準備ができたところで釣り開始。ところがこれが難しい!

そもそも身近な川でたくさん獲れて、焼いて干せば長期保存もできるカジカは、食糧事情が乏しかった昔の山里において貴重な蛋白源でした。

「ヤマメ、イワナ、アユといった川魚も価値はもちろん高いのですが、春の渓流魚、夏のアユと並んで、冬を前に秋にねらえるカジカは季節的にもありがたい存在。そうした海なし県における食用魚としての価値と、季節ごとの釣りとしての純粋な遊びの要素が重なって、栃木県には今もカジカを釣る文化が残っているんですよ」と先生。

そんな背景を知ると周囲の景色も違って見えます! ただ、肝心の釣りは「カジカのいそうな石の隙間を見つける」という基本が思った以上に難しいのです!

カジカがいそうな「隙間」は、石と石の間や大きな石の下が暗くなっている場所。特に隙間の入口にゴミがなく、サオ先がスッと中に入るような場所は有望なポイントになります
こちらはカジカがいない場所の例。流れの上から見た時は石の周りや下に隙間がありそうな場所でも、小石や砂で埋まっているところは意外に多く、こうした場所にはカジカがいません
気付けば無言で隙間探し! 隙間は狭い場合や向きが限られている場合も多く、「サオ先を入れる角度を少しずつ変えることで、探るように見つけるのもテクニックです」と先生
すると「いましたよ~」と先生にファーストカジカ! やっぱり可愛い!
特徴は大きな頭と胸ビレ。さらに川の石に溶け込むような体色をしています。ハゼと少し似ていますが、ハゼはお腹のヒレが1つの吸盤のようになっているのに対し、カジカは左右に分かれたヒレが付いていて明確に種類が違います
私のカジカちゃん、どこにいるの~!
サオ先がプルプル……と思ったら、正体は木の枝!
大人の川遊びみたいと思っていたら、想像以上に根気もいる釣りなのです
  • ※走行中は安全のため、シートベルトをお締めください。
  • ※安全のため、走行の際は後方視界をしっかり確保してください。
  • ※このコンテンツは、2025年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。