渓流釣り×自転車はメリットがいっぱい!
スマチャリをフル活用する天然アマゴのテンカラ釣り

渓流釣りにおいて、釣果以前に悩ましいのが川までのアプローチだ。
初めての川なら、入渓点を探すだけで時間がかかってしまうこともある。

その中で注目する人たちがいたのが、釣り場での自転車利用だが、さらに最近は林道のアップダウンもラクな電動アシスト付きが広まっている。
盛期を迎えた渓流で、実際のメリットを体感してみた!

渓流で釣りをするのは意外と難しい!

人里離れた清冽な流れに身を浸し、美しい魚たちとの出会いを楽しむ渓流釣り。
川の中の一定区間を選んで入ったら、魚がいそうな場所でサオをだしながら、じっくり時間をかけて釣り歩いていく。

「この淵を越えたら、次はどんな流れになっているのだろう?」

そんなワクワクは、釣り人を常に上流へと駆り立てる。

山間の澄んだ渓流を釣りザオ片手に上流へ進む

ただ、渓流釣りには「移動」の問題がつきまとう。
最も基本的なのは、「どこまでクルマで行けるのか?」の見極めだが、そこをクリアしたとして、そもそも釣りをスタートする地点(川に入る入渓点)をどこにするのか? 釣りを終え川から道に上がる場所はどこにするのか?トータルで歩く距離はどれだけになるのか?(時間や体力は間に合うのか)を判断しなければならない。

テンカラ釣りで初めての川へ!

そうした悩みを解消する選択肢のひとつに自転車がある。
もちろん、釣り場によっては、すべての移動をクルマでカバーできてしまう場合もあるし、逆に最初からほとんどの区間を歩くしかない場合もあるが、「クルマ+自転車+徒歩」という手段に可能性を感じている人は少なくない。

テンカラ釣りをメインに渓流釣りを楽しむ大沢健治さんもそんな一人。ときに自転車も活用するスタイルを取り入れて、全国のフィールドに出向いている。

大沢健治(おおさわ・けんじ)さん
大沢健治(おおさわ・けんじ)さん
埼玉県在住。渓流釣り歴25年のベテランで、源流釣行の経験も豊富。大手釣具メーカーのテンカラ釣りフィールドテスターを務める傍ら、2020年には自身のテンカラブランド「10colors」を立ち上げ、自作毛バリの販売も行う。Honda釣り倶楽部「レクチャー動画」にも講師として出演している。
渓流釣りの対象となるイワナ、ヤマメ、アマゴといった魚は、山を分け入った川の上流部を棲み処にしています。公共交通機関ではたどり着けないような場所が多いので、釣りをしたいポイント付近までクルマで到着したら、そこからは歩いて入渓地点を探す、というのが一般的です。

しかし、慣れ親しんだ川ならいいですが、初めて行く川だと、その部分にどれだけの時間と体力をかけられるかで、その後の釣果に大きな影響が出ます。

今回大沢さんが訪れたのは、自転車も走行できる林道が川に沿って走っている長野県内の渓流。下調べをした限り、渓流魚がいる川であることには間違いないのだが、大沢さんにとっては初めての川になる。

※走行中は安全のため、シートベルトをお締めください。

8月上旬、やってきたのは地図で探して見当を付けておいた長野県内の渓流。川の下流部に広い駐車スペースがあり、川沿いに自転車が走行できる林道が走っている。釣りに必要な遊漁券は道中にある地元の商店で購入した
この日のクルマは新型フリードの2例目キャプテンシート装着車。自転車もそのまま積めてしまう! 自転車は電動アシスト付きのクロスバイクタイプ「SmaChari(スマチャリ)」をチョイスした
自転車を利用することで、入渓地点を効率よく探せることが最初のメリットです。その際は電動アシスト自転車、いわゆるe-Bikeがやはりラクで、林道の条件に合ったタイヤを装着しているタイプを選ぶ必要がありますが、徒歩ではとても見切れない距離をチェックすることができます。

今回は地図サービスで見ても大半の区間が舗装されていたので、クロスバイクタイプで問題なさそうです。

大沢さんが立てたプランはこうだ。

①自宅を出発。釣り場となる川の下流部までクルマでアクセスする
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②e-Bikeに乗り換えて林道を上り、入渓点&退渓点を確認
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③退渓点にe-Bikeを停めておき、入渓地点まで林道を徒歩で下る
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④川に入渓し、退渓点までじっくり釣り上がる
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⑤退渓点に来たら川から上がり、e-Bikeに乗ってクルマまで楽々帰還!

駐車スペースを出発! 初めての釣り場を広く把握するため、まずはひととおりの区間をチェックする

しっかり時間をかけて、
釣りをする区間を品定め

「誰でも川に降りやすいところは、魚影が薄くて明らかに釣れにくいことがよくあります。できればそれとは反対の、魚がよく釣れそうな“おいしい区間”を自分の目で見つけたいですね」と大沢さん。

木立の向こうにちらりと川が見えた。クルマからでは見えづらいような場所も漏らさず確認できる。それによって判断にも無駄がなくなる
途中にある沢や支流もこまめにチェック。本流の水量を予想したり、川に入る場所として利用できないかも考える
林の向こうに川音が聞こえると「早く釣りがしたい」「これ以上ほかの場所を探すのは疲れる」と無理な入渓もしてしまいがち。そこで引き返せるのは安全の確保にもなる
最近はGPS機能のついた地図アプリがあるので、携帯電話の電波が入らない渓流でも、事前にダウンロードした地図を開き、等高線の具合などを確認しておけば川に降りられる場所の見当もある程度はつけられます。とはいえ、本当にそこが安全なルートかどうかは、現地をちゃんと見てみないことにはわかりません。

e-Bikeを使えば、時間的にも体力的にも余裕を持てるので、そうした判断を焦らずにできます。仮に期待した場所がダメでも、無理をせず他の入渓点を探せばよいという気持ちになれます。

やがて下見を終えた大沢さんは、この日の入渓点と退渓点を決定。最初に退渓点と決めた場所にe-Bikeをデポすると、入渓点まで林道を300mほど歩いて下り、そこからちょっとしたヤブを抜けて川を目指した。

「釣果は準備(釣り場選定)が9割」と言ってよいかもしれない。同じ川を釣るにしても、区間が違えばそれくらいの差が出る
入退渓する場所を決めたら、退渓点にe-Bikeをデポする。そこから入渓点まで林道を歩いて下る
入渓点まで林道を歩くのは、下り坂で体力満々の状態なのでそれほど苦にならない。このあとの「爆釣」を妄想しているのでアドレナリンも全開だ
  • ※走行中は安全のため、シートベルトをお締めください。
  • ※安全のため、走行の際は後方視界をしっかり確保してください。
  • ※荷物は、必要に応じてラゲッジベルトなどでしっかり固定してください。
  • ※シートアレンジの各操作は、異物を挟んでいないか確認の上、無理に力をかけずに確実に行ってください。
  • ※このコンテンツは、2024年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。