島の南西部に役勝川が流れていて、下流で住用川が合流。このデルタ地帯に、国内で西表島に次いで二番目という規模のマングローブの原生林が広がっています。
このマングローブの原生林の中をカヌーで下るのが観光客に人気で、周辺にはカヌーツアー会社がいくつかあります。先述の中岡さんはそのうちのひとつ、『黒潮の森 マングローブパーク』の職員で、マングローブのクロダイ釣りのパイオニアのひとりなんです。
2015年の2月下旬、私は中岡さんのカヌーに同乗させていただく機会を得ました。カヌー乗り場からカヌーに乗って2、3回漕げば、両岸にマングローブが茂っている川に出て、クロダイのポイントはそこから数km間に及びます。
メインで使用するのは5cmほどの
ペンシルポッパー。腹部がオレンジ色のカラーが実績が高いそうです。マングローブが
オーバーハングしている部分を見つけ、あたかもマングローブからカニが誤って落水したかのイメージでルアーを
キャストします。
キャストがうまく決まったら5秒ほど待ち、サオを軽くシェイクしてルアーを動かします。中岡さんによると、3~5月の最盛期は、この瞬間に
バイトしてくることが多いとのこと。
クロダイにしろミナミクロダイにしろ、水面付近のエサを捕食するのがあまり得意ではないようです。バイトがあっても、
乗らないことがほとんど。しかし、バイトがあると、たいていは2度、3度とルアーに襲い掛かってきます。
カヌーから釣りをしているため、視線は水面に近く、ねらうポイントも数m先です。ルアーは水面を漂うペンシルポッパー。静まり返った水面を泳ぐルアーを見ながらサオを操作していると、ルアー周辺の水面が突如爆ぜるわけですから、最初のうちはつい「アッ!」なんて声をあげてしまいます。ヒットに持ち込むためには、こちらから合わせるのではなく、
向こうアワセに持ち込めるか否か。なので、最初のバイトがきて乗らなくても、頃合を見計らってルアーに
アクションを加えます。すると、待ってましたとばかりに次のバイトがきます。このとき、ルアーが消えたとしても
アワセを入れず、サオ先が引き込まれるまで落ち着いて待ち、サオ先に重みを感じたら初めて合わせます。
アベレージは30cm前後とのことですが、40cmオーバーももちろんヒットします。40cmオーバーともなると、カヌーを引っ張られそうなほどのトルクあるファイトを楽しめます。また、5月を過ぎると同様の釣り方でメッキやカスミアジも混じるようになり、夏から秋にかけては40kg超のGT(ロウニンアジ)も
汽水域に入ってくるとのこと。
異国情緒あふれるマングローブの川でカヌーに乗ってのルアーフィッシングは、一度体験したら病み付きになること間違いなしです。