沖縄には3種類のアオリイカがいる。本土で普通によく見かけるアオリイカであるシロイカと、シロイカよりも大型に成長する南方系のアオリイカであるアカイカ、そして成長しても400g程度までの小型のアオリイカであるクワイカ(クアイカとも言う)だ。
これら3種類のアオリイカは見た目が非常に似ており、長年イカの分類学者も見分けがつかなかったが、沖縄の漁師さんは昔からこの3種類を分けて水揚げし、それぞれに値段の差を明確につけていた。近年になりDNAや酵素を調べた結果、この3種は遺伝的に別の系統のイカであることが明らかになったわけだが、沖縄の漁師さんはそんな科学的な検査に頼ることなく3種に分けていたのだから目利きの正しさには恐れ入る。
ちなみにもっとも高価とされるのは、本土の人にもおなじみのシロイカであり、次いで大きく成長するアカイカ、そして最後がクワイカだ。ただし、このクワイカは沖縄や小笠原など亜熱帯でしか見られないことから、小さいながらもエギングマニアにとってはぜひ釣っておきたいターゲットと言える。
とりわけ大型に育つとされるアカイカは日中、水深100mあたりの深場にいることから
オカッパリでねらうことはなかなか難しい。しかしシロイカはリーフの内と外を、エサを求めて行き来しているので出会えるチャンスがある。クワイカはリーフ内の
浅場に多いことからもっとも手軽にねらえる。
なお、久米島のシロイカも産卵のピークは春だが、個体差も大きく、全体的に見れば周年産卵しており、周年成熟した大型がねらえる。というのもアオリイカの産卵に適した水温は17℃以上とされるが、久米島では冬でも水温がそれを下回ることはないからだ。
地元の人たちは島内にいくつもある漁港と、イカの通り道になりそうなリーフの切れ目や
ミオ筋でオカッパリを楽しんでいる。リーフに
立ち込んでの釣りは夕方から夜がメインであり、干満差によって帰ることが難しくなることもあるため、ビジター向きではないから漁港の釣りをすすめる。漁港は台風に備えた大型のものが多く、フェリー港など大型の漁港には総延長1kmもの長大な堤防もある。レンタカーを利用して風向きによって
ラン&ガンすればよい。
水温が温暖のためどこよりも早く大型がねらえ、その後も周年チャンスのある久米島だが、海水浴ならいざ知らず、気持ちよくエギングが楽しめるのは晩春まで。まさに今が好機である。