真野 秋綱 氏
月刊『FlyFisher』編集長
真野 秋綱 氏
1975年生まれ。2014年より『FlyFisher』編集長を務める。その前には月刊『つり人』編集部で、沖釣りから渓流釣りまでを楽しんでいた。現在は別冊つり人『渓流』も担当。

アルプスに挟まれた伊那谷に遊ぶ

標高1,500m以上を流れる山岳渓流は、この時期でも長時間手を入れていられないほどに冷たい水が流れる
標高1,500m以上を流れる山岳渓流は、この時期でも長時間手を入れていられないほどに冷たい水が流れる
夕立などのおかげでたまに涼しくなる時もありますが、しばらくは厳しい暑さが続きそうな今日このごろ。やっぱり涼しい渓流に行きたくなるのは当然です。しかし夏休み期間中ということもあり、川原は水遊びやバーベキューの方でいっぱいということも多々あります。
そんな時に頼りになるのが、付近に魅力的なフィールドが集まっているエリア。いざという時には隣の支流へ移動できれば、心強いものです。今回は伊那周辺の釣り場について紹介したいと思います。
長野県の伊那谷は、中央自動車道を利用すると、名古屋方面からも東京都心からもアクセスは楽。西には中央アルプス、東には南アルプスがあり、どちら側にも魅力的な支流群があって天竜川に注いでいます。
東側から見ていくと、人気があるのは太田切川や与田切川、松川など。これらは支流のなかでは規模も大きく、またそれぞれにも支流がある釣り場です。駒ケ岳や念丈岳など、中央アルプスの高い峰々から流れる水は冷たく、夏でも釣りやすい場所が多いのもうれしいところです。
標高が高くなるとイワナがメイン。フライはアントパターンや、ピーコックを使ったパラシュートテレストリアルカディスなどがよいようです。ロッドは#3~4でよいでしょう。
ちなみに太田切川などは、巨岩の多いダイナミックな流れ。遡行はそれなりに体力が必要です。あまり無理をせず、可能な範囲で釣りをしてみるのがよいでしょう。落ち込みの脇などには、尺イワナも潜んでいます。
太田切川水系は、落差のあるダイナミックな渓相が見られる
太田切川水系は、落差のあるダイナミックな渓相が見られる
支流に入ると木々がかぶさる場所も多いので、短めのロッドが扱いやすいことも
支流に入ると木々がかぶさる場所も多いので、短めのロッドが扱いやすいことも

人が多いエリアではやはり魚も賢い

三峰川水系のアマゴ。ヒレのピンと張った美しい魚体
三峰川水系のアマゴ。ヒレのピンと張った美しい魚体
天竜川の東側に目を向けると、やはり訪れてみたいのが三峰川です。下流から見ると桜で有名な高遠を過ぎ、いったん南に伸びた川はやがて仙丈ヶ岳のほうに突き上げます。非常に長い流程の川ですが、残念ながら現在は手前にゲートがあってクルマでは入れません。ただしその分、体力に自信のある人しか入れないので、魚は多くなっています。上流は美しい大イワナが釣れ、何泊かして源流行を楽しみたい人にはおすすめです。また三峰川にも支流がいくつかあり、下流域では良型アマゴもねらえます。
アマゴが多いような下流域では、やはり人も多くなります。私自身もライズを繰り返す良型を見てトライしたことが何度かありますが、フライの手前でUターンされてがっかり……ということが何度もあります。アマゴをねらうのなら、やはりフライはサイズや種類を多めに用意するべきかもしれません。ただし、この時期はやはりアントパターンは外せない定番といえそうです。

意外とイケる!? 長野県の昆虫食

伊那谷は、文化的に見ても魅力的なエリアです。食べ物では高遠そばやローメン、馬肉、ソースかつ丼などがよく知られています。そして道の駅などでよく見かけるのが、イナゴ、蜂の子、ザザムシなど。試しに食べてみると、意外と美味しいので驚く人も多いようです。
ちなみにこの地方では、蜂の子を採ることを「スガレ追い」などといいます。釣りをしていて、何度かスガレ追いをしている人を見かけましたが、大の大人が夢中になるほど楽しく、また蜂の子も美味だということです。見た目はちょっと……と思われるかもしれませんが、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
信州の名物はたくさんあるが、伊那谷周辺では蜂の子もよく見かける。意外と美味!?
信州の名物はたくさんあるが、伊那谷周辺では蜂の子もよく見かける。意外と美味!?
今回ご紹介したエリア
長野県/伊那市周辺・天竜川支流群のアマゴ、イワナMAP
アクセス
中央自動車道の伊那IC~松川ICの区間は、天竜川とほぼ並行して走っている。三峰川へは伊那IC、太田切川へは駒ヶ根IC、松川へは松川IC利用が便利。
※このコンテンツは2014年8月の情報をもとに作成しております。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。