Dio M.A.-C.ABS・ST1100 Pan-European CBS-ABS - 1995.12

Technology
Dio M.A.-C.ABS・ST1100 Pan-European CBS-ABS
 
はじめに

 ホンダは“安全な二輪車づくり”という最も大切な課題に対し、アクティブセーフティ(事故を未然に防ぐための予防安全)の考えのもと、利便性が高く、扱い易い二輪車の開発を目指し、長年にわたり研究を重ねてまいりました。
 またソフト面でも、'70年10月に「ホンダ安全運転普及本部」を他社にさきがけ設立し、お客様が安全かつ快適にお乗りいただくための活動など、ハード/ソフト両面での取り組みを行ってまいりました。

 そして、アクティブセーフティの中でも大切な要素のひとつである“ブレーキシステムの進化”についても研究を重ね、'69年には二輪車の量産市販車として世界で初めてディスクブレーキを装着したCB750FOURを発表。以降、よりコントロール性に優れたブレーキシステムの実現を目指し、ブレーキ操作時の車体姿勢の安定性向上のためのアンチダイブジオメトリーの追求や、焼結パッドの採用等の摩擦材の性能向上、デュアルピストンキャリパーの採用など、基本的技術の改良を進めてまいりました。

 さらに、これら基本技術を進化させる一方で、二輪車独特の前・後輪ブレーキを別々に操作することを比較的経験の浅いライダーでも容易に行えるよう、ライダーのブレーキ操作を簡便化し、ライディングに集中できるようにすることが、ブレーキに求める積極安全であると考え、この思想のもとホンダは独自のテクノロジーで最新のブレーキ技術を開発してまいりました。

 その具体的な技術のひとつである、直進時におけるブレーキのかけすぎによる車輪ロックを自動制御する、アンチ・ロック・ブレーキ・システム(以下ABS)の開発にあたっては、'70年代初頭より純メカニカルタイプのABSの開発をいち早くスタートし、'87年には電子制御を使用しない機械式液圧制御方式を採用したABSを完成。そして'92年には、さらに進化した二輪車専用の電子制御式ABSをST1100に搭載しました。

 また、前・後輪の制動力を理想的に配分し、効果的なブレーキ操作を可能とする連動ブレーキ技術についても早くから研究を重ね、'83年にはフットペダル操作によって前・後輪のブレーキを連動する「Combined Brake System」をGL1200に搭載。さらに'93年には、これをさらに進化させ、ハンドレバー/フットペダルのいずれの操作でも前・後輪の連動を可能とする「Dual Combined Brake System(前・後輪連動ブレーキシステム)」をCBR1000Fに搭載してきました。

 その後もホンダは、前・後輪連動ブレーキシステムやABSの研究を進め、大型二輪車のみならず、スクーターをはじめとする小型二輪車に対してもブレーキ操作を補うことによって、扱い易さをさらに向上させるシステムについての研究開発を続け、本年9月には、適切な前・後輪ブレーキの制動力を、より簡便な操作で実現する前・後輪連動ブレーキシステムと、直進制動時のブレーキのかけすぎによる車輪のロック防止の自動制御(ABS)という、異なるブレーキ技術を融合させた、「前・後輪連動ABS」という技術を発表いたしました。

 そしてこの度、小型二輪車用「M.A.-C.(Motor Actuated Combined)ABS」を最量販スクーターのDioに搭載するとともに、輸出専用モデルとして欧米で高い人気を誇るスポーツ・ツアラーのST1100 Pan-Europeanに大型二輪車用「T.R.-C.(Torque Reaction Combined)ABS」とTCS(トラクションコントロールシステム)を組み合わせて搭載した「ST1100 Pan-European CBS-ABS with TCS」として、それぞれ実用化の見通しを得ました。

ホンダ二輪車の安全思想




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