パワーユニットは、'92年にデビューしたCB1000 SUPER FOURの水冷・直列4気筒・DOHC998cm3エンジンを踏襲しながらも全て新設計とし、「パワードカスタム」の必須要件である「ビッグバイクの迫力」を具現化する出力特性を目指しました。そして、出力特性の味付けにあたっては、低回転時の極太トルクを実現するとともに、最高出力を狙うのではなく、国内の使い勝手においてライダーが体感できる最大トルクをいかに低回転時に発生させるかをポイントに開発を進めました。
具体的には、トルクピーク回転数を5,000rpmとし、2,500rpmからの最大トルク発生までの変動を極力押さえた常用域から扱いやすい出力特性とするとともに、トルク変化率を2,500rpmからピークの5,000rpmまでを約10%におさえることで、低回転から豪快な加速感を実現しました。
出力特性をCB1000 SUPER FOURと比較した場合、トルクのピークを約37%向上させながらも、トルクピーク回転数を約1,000rpm低回転側に設定。トルクカーブもCB1000
SUPER FOURを全域で上回るとともに、低・中速域では排気量アップ以上のトルクの向上を達成しました。
そして、
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1. |
排気量の設定 |
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2. |
吸気系の諸元設定 |
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3. |
排気系の諸元設定 |
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4. |
クランク慣性モーメントとピストン往復部重量の設定 |
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5. |
クラッチ容量の設定 |
以上の項目に主眼を置き、各部の仕様・性能を選定しました。 |
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トルク特性比較
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1.排気量の設定 |
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軸間ディメンション変更
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エンジンは、CB1000 SUPER FOURの988cm3(φ77.0mm×53.6mm)をベースとし、ピストン軸間を同一としながらも各部を全て新設計としています。
今回、メインシャフトおよびクランクシャフト間のピッチを6mm広げることで、13.6mmのストロークアップを可能とし総ストロークを67.2mmに延長。1mm拡大したφ78mmのボアと相まって、排気量を1,284cm3に拡大しました。
一方、ストロークアップしながらも、シリンダーヘッド、ヘッドカバーの高さはCB1000 SUPER FOURと同等のコンパクトなものとしています。
この排気量アップに伴って、ボア・ストローク比をCB1000 SUPER FOURの53.6/77=0.696から67.2/78=0.862へと変更することで、低・中速トルク型のディメンション設定としています。 |
2.吸入系諸元の設定 |
吸入系断面図に示す通り、吸気の充填効率は吸入管長をいかに稼ぐかによって決定されます。X4では大幅に管長を伸ばすことで(約25%アップ)低回転型のトルク特性を達成しました。
また、新設計のφ36mmVE型ホリゾンタルキャブレターを採用し、エアクリーナーからヘッドポートまで滑らかにつなぐ吸気系としています。さらに、エアクリーナー容量は大容量の7.5Lを確保しています。
これらの吸気系の設定によって、CB1000 SUPER FOURと比較して全域にわたり吸気の体積効率(吸入系のみの効率)を約10%向上させました。
(*体積効率=行程容積に対し実際に吸入した混合気量の比率) |
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吸入経路断面
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