VTR1000F
VTR1000F
 

フレーム



S.P.L.(スイングアーム・ピポット・レス)フレーム
S.P.L フレームVTR1000Fのアルミ製のメインフレームは、全部品を新設計とし、メイン・サブ2系統アルミパイプ、中空鋳造ヘッドパイプ、開断面リアプレートで構成されています。
 メインパイプは、日の字断面のD字型曲面材を使用し、理想的な全体剛性を提供します。サブパイプは、メインパイプに比べて細いD字型曲面材を使用し、主にエンジンハンガーとして機能します。ヘッドパイプは、薄肉重力鋳造により中空成形されコンパクトで高剛性な構造としています。
 リアシリンダーを囲むように配置されたリアプレートは、薄肉重力鋳造で成形され、上部は多くの裏リブで補強され、リアクッションのアッパーピボットからの大きな荷重を受けとめる機能を果たします。また、その下部は、可能な限り裏リブが省略され、エンジンとの結合剛性を適正にコントロールしています。
 さらに、スイングアームピボットをエンジン側に設け、リアプレートを小型化し、アンダークロスを省略し、さらに、CAE解析によって各部に適正な強度、剛性、しなやかさを設定し、極力無駄のない設計で軽量・コンパクトなフレーム構造を実現しました。


S.P.L.フレームによる新車体構造と操縦安定性の関係について
S.P.L. フレームCAD これまで一般的なオンロードモデルは、エンジンを可能な限り前輪に近づけて前輪荷重を確保し、前・後輪間を高剛性フレームでつなぎ、操縦安定性を成立させてきました。しかし大排気量90度Vツインエンジンは、フロントシリンダーが大きいため搭載位置が後方になり、前輪分布荷重が上がらず、安定性の確保が困難でした。
 VTR1000Fは全く新しい考え方で操縦安定性を成立させています。まず、前輪系・ヘッドパイプ廻りで比較的剛性の高いユニットを構成しています。そして、後輪系・スイングアーム廻りを直接エンジンに連結し、もう一つのユニットを構成しています。そして、このふたつのユニットをエンジン上部・左右各3箇所のエンジンハンガーボルトのみで結合させ、ハンガー廻りの剛性を適正に設定しています。
 この構造を採用することによって、少ない前輪分布荷重と車体のしなやかさによって、低速での軽快性を確保するとともに、後輪からの外乱を大きな質量のエンジンで受けとめ、適正に制御されたエンジンハンガー廻りの剛性で減衰させ前輪系に伝えにくくし、高速走行時の安定性を確保しています。


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