VT250 - 1982.05

VT250F
VT250F
 
主な機構と装備

■エンジン
新設計の4サイクル前後横置90度V型2気筒水冷式エンジン
 
吸排気効率の優れた4バルブ式を採用し、さらに11.0:1という高圧縮比とともに燃焼効率の良い燃焼室形状とすることにより、クラストップレベルのパワー(35PS/11,000rpm)を発揮する高性能エンジンを可能としました。
さらに水冷化およびシリンダーV型配置により、軽量・コンパクト・スリムで静かな高出力エンジンを可能としました。
 
オートカムチェンテンショナー
前後各シリンダにオートカムチェンテンショナーを採用し、カムチェンの調整を一切不要にしています。
カムフォロア式ロッカーアーム
重量軽減、耐バルブジャンプ性向上を図り、卓越した追従性を実現しました。さらにメンテナンス性を考慮し、アジャストスクリュー方式を採用し、バルブ間隙調整を容易にしました。

エンジン


■6速トランスミッション
中低速では安定したトルク、高速ではすぐれたパワーを引き出す6速トランスミッションを装備しました。

■油圧クラッチ
油圧式クラッチの採用により、従来の機械式(ケーブル式)に比較してクラッチディスクの膨潤によるクラッチの切れ不良や、ケーブルの劣化などによる荷重の増大などが無く、軽い操作フィーリングでスムーズなクラッチの断続を行なえるようになりました。
さらにクラッチディスクの摩耗などによるクラッチの調整も、自動的に行なわれるため、クラッチ液量点検以外は、調整が不要となり、メンテナンスフリー化が図れました。
 
★作動
クラッチレバーを握ることによって、マスターシリンダー側に発生した油圧は、ホースおよびパイプを通ってスレーブシリンダー側のピストンを押し出します。
ピストンはメインシャフト内を通るクラッチリフターロッドを押すため、ロッドはクラッチプレッシャープレートを押し、クラッチは切れた状態になります。
クラッチレバーを放した場合は、スレーブシリンダーの油圧が降下し、リフターロッド、スレーブピストンは、クラッチスプリングにより押し戻されて、クラッチは繋った状態となります。

油圧クラッチ


■冷却系統
高い信頼性と耐久性を維持し、高出力ながらコンパクトで静かなエンジンとするため、水冷方式を採用しています。
冷却装置は電動ファン付き小型ラジエターとウォーターポンプによる強制循環式を採用。
メンテナンス、取扱い性を考慮し、リザーブタンクを使用した密閉式を採用し、さらに暖機が早く、オーバークールも防止するサーモスタットも装備。さらに走行による冷却風が得られない場合を考慮し、電動式冷却ファンを装備しています。
 
★冷却水の流れ
冷却水はウォーターポンプ部よりシリンダーウォータージャケット部へ圧送される。ウォータージャケット部でエンジンを冷却した冷却水は、シリンダーヘッド部よりサーモスタットを通って、ラジエターアッパータンクへ入ります。ここで冷却水はラジエターアッパータンクよりロアタンクへ落下する間に走行による風などで冷却され、温度を下げてダウンチューブ内部を通りウォーターポンプ部へ戻ります。
暖機中などでサーモスタットが閉じている場合は、シリンダーヘッド部よりラジエターへは冷却水は送られません。ウォーターポンプの圧送圧力よりサーモスタット開弁圧が高く設定されているため、冷却水は動きを止める形となります。

冷却系統




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