VALKYRIE - 1996.07

VALKYRIE
VALKYRIE
 
スタイリング

 デザインワークにあたっては、“SPIRIT OF THE PHOENIX”のフラッグシップにふさわしいキング・オブ・アメリカンカスタムを具現化すべく、本田技術研究所朝霞研究所と、ホンダR&Dノースアメリカ(HRA)との共同開発でプロジェクトはスタートしました。
 スタイリングの方向性を模索する上で、開発チームが目指したのは“夢”の実現でした。そしてキーワードを“究極のホットロッドカスタム”と決定し開発を進めました。

 具体的な夢の第一歩として、パワーユニットにはホンダの歴史が造り上げた水平対向・6気筒・1520cm3の採用を決定しました。そしてスタイリングデザインの方向として、1940〜50年頃のクラシックカーがもつ重厚で華麗なスタイルをモチーフに、レトロ調の風格と優雅さ、そしてホットロッドカスタムとしての圧倒的な迫力を融合させたトラディショナルフォルムを表現することにしました。

そして、
 
1520cm3のエンジンをささえるロング&ワイドなプロポーション VALKYRIE
圧倒的な加速力を生み出す6個のキャブレターを搭載するとともに、細部にまでクロームメッキ加工を施した、迫力と高級感あふれるエンジン
おおらかな気分にさせる超ワイドなハンドルバーと、高級ソファー感覚の超大型ダブルシート
タンデムライダーに快適な居住空間をもたらすバックレスト
サイドにシャープなキャラクターラインを施したアイデンティティーあふれる迫力のティアドロップタンクと、クロームメッキ加工を施したフューエルタンクキャップ&カバー
深く重厚で流麗なデザインかつ、レトロムード漂うスチール製の前・後フェンダー
堂々としたボディをがっしり支える倒立式フロントフォーク
極太のフロント:150/80-17/リア:180/70-16のラジアルタイヤ
フロントビューを引き締めるマルチリフレクターヘッドライトおよび、アイブロウを装着したヘッドライトケース
メーターパネルにクラシックカーイメージのクリーム調カラーを採用したコンビネーションメーター
低重心イメージとクラシカルな雰囲気を醸し出すテールライトと、クロームフィニッシュされたウィンカー&ライセンスランプブラケット
 
などにより、キング・オブ・アメリカンカスタムを具現化しました。

カラーリング
 車体色は、高品位感なクロームメッキパーツとのコントラストが際立つブラックを採用し、ホットロッドカスタムにふさわしい風格と、迫力ある仕上がりとしています。

フューエルタンク
 フューエルタンクは、ワルキューレの力強いスタイリングとアメリカン・カスタムの普遍的な美しさを主張するティアドロップ型の左右に大きく張り出した形状とし、20L大容量で十分な走行距離を確保しています。トップ&サイドにはシャープなキャラクターラインをデザインするとともに、クロームメッキ処理を施した立体エンブレムが、キング・オブ・アメリカンカスタムを主張します。 フューエルタンク

ヘッドライト
 ヘッドライトは、新開発のマルチリフレクター式を採用したφ170mm、60W/55ハロゲンヘッドライトとしています。
 ヘッドライトケース上部には、十分な光量を確保するとともに、精悍さをより一層引き立たせるアイブロウ(眉)タイプのバイザー風リムを装着。さらに、コックピット側には、ニュートラル、ウィンカー、ヘッドライトの各パイロットランプを内蔵し、機能美を主張するとともにシンプルなメーター廻りのデザインに寄与しています。
ヘッドライト

メーター廻り
 コンビネーションメーターは、スピードメーター&タコメーターのパネルをアルミヘアーライン仕上げを施したクリーム調パネルとし、左右に間隔をとって配置することで、アルミ製の大型トップブリッジや、パイロットランプを埋め込んだヘッドライトケースとあいまって、レトロ調の中に上品さを表現するコックピット廻りのデザインとしています。 メーター廻り

リア廻り
 リア廻りのデザインは、ワイドなリアフェンダーに呼応した縦形の大型テール&ストップランプ、クロームフィニッシュされたライセンスランプ、ウィンカー等、迫力ある後ろ姿の中にも、全体の美しさを完結させる表現としました。
 
エキゾーストシステム
 エキゾーストシステムは、美しい曲線の3次元曲げ形状のエキゾーストパイプとともに、左右2本のスラッシュカットタイプのマフラーを採用することでホットロッドカスタムの個性を表現しました。
 
リア廻り

  *アメリカン・ホットロッドとは
ホットロッドとは、辞書による定義で大きなパワーやスピードを得るために再生又は製作された自動車のことであり、1920年〜30年代、米国ロサンゼルス付近の10代の若者の間で、ドラッグレーシングやドレスアップ等の流行とともに発祥した。
今日のホットロッドは、1960年以前の古いモデルをベースマシンとして使用し、'30年代のクラシック・レトロ調のスタイリングを追求し、車体パーツの軽量化や部品の着脱などによって軽量化を図り、かつキャブレターやエキゾーストパイプなどのエンジン廻りのスタイリングを強調し、排気音にもクリアーでパワフルなエキゾーストサウンドを求めるなど、アメリカン・カスタムモデルの延長線上にある価値観で、パフォーマンス性の向上を図ったモーターサイクルを指す場合が多い。




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