SUPERCUB - 1981.02

SUPERCUB
SUPERCUB
 
新型スーパーカブ発売にあたって

 今回発売の「新型スーパーカブ」に搭載した50ccエンジンの、1リッター当り105kmの燃費(30km/h定地走行)は、エンジン技術の基本である“燃焼効率”を追求した結果得られたもので、同時に大巾な出力向上を実現しました。これは長年にわたりホンダが蓄積してきた、50cc4サイクルエンジンのノウハウを基に、レースで培った燃焼技術をいかし、完成させた新設計エンジンです。(これをエコノパワーエンジンと名づけました)
 まさに省エネルギー時代に対するホンダ4サイクルエンジン技術のポテンシャルを示したものです。

 ホンダは、シャリィ(昭和47年発売)やロードパル(昭和51年)で女性ユーザーを中心としたファミリーバイク市場を開拓してきました。一方この数年ファミリーバイクの使われ方に省エネルギー時代を反映した変化が見られ、本来バイクに求められていた実用的な要件〈維持費の安さ、耐久性、扱いやすさ、省スペース〉がより強まってまいりました。
 これは、スーパーカブに代表される“ビジネスバイク”に求められているものとも一致し、ファミリーバイクが増加するなかで、シャリィやスーパーカブに採用している“4サイクルエンジン”が見直される傾向が顕著に認められます。そういったことからホンダは、近い将来オートバイにも「燃費時代」がくるものと予測し、この数年間50cc4サイクルエンジンのメリットである“低燃費性、静粛性、耐久性”など諸要素の徹底的な見直しをはかりました。
 その結果、リッター当り105kmという世界的超低燃費性能をもち、かつ、出力向上をはかって、一段と扱いやすくなった「新型スーパーカブ」が誕生しました。

 昭和33年、ホンダは初代「スーパーカブ(C100)」を発売しました。50cc、4サイクル、の高性能エンジンを搭載。スタイルはアンダーボーン、プレスフレームをベースにレッグシールド付きで、当時のどのバイクにも類似しない独創的で斬新なものでした。
 このクラスの4サイクルエンジンは、当時ヨーロッパのスポーツタイプに数種みられただけで、採用すること自体、技術的な困難をともなうことであり勇断を要することでした。

 スーパーカブは当初から超時代的なテクノロジーをもって誕生し、その後22年間基本的レイアウトはそのままに、各部に改良を重ねてまいりました。
 生産開始以来昨年末までに累計1,350万台の生産台数に達し、二輪車の単一機種としては世界最多の実績をもち、国内はもとより世界80ケ国で広く愛用され、文字通り「世界の実用バイク」として高い信頼を得ております。
 ホンダはこれらの信頼にさらに応えるため、時代の要請である〈経済性=低燃費〉と〈高性能=出力向上〉とを同時に満足させたビジネスバイク「新型スーパーカブ」を開発いたしました。




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