RACOON - 1994.12

RACOON
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はじめに

 ホンダは、二輪車が本来持っている優れた機動性と軽量・コンパクトな特性を活かしながら、手軽で利便性の高い乗り物としての資質を追求し、時代のニーズに合った新技術を投入することによって、幅広い方々の要望に応えられる様々な製品を提供してきました。
 とりわけ、二輪車の持つ手軽さを追求したカテゴリーでは、創業期の1947年に自転車に補助エンジンを組み合わせた「ホンダA型」を発売して以来、白いタンクに赤いエンジンで親しまれた「カブF型」(1952年)、ペダル付きのおしゃれな「リトルホンダ」(1966年)や「ノビオ」(1973年)、そして、25ccのコンパクトなエンジンを搭載した「ピープル」(1984年)など、自転車に近い軽便さを持ったパーソナル・コミュータを次々と開発してきました。
 また、これらの開発の中で、より多くの人々が扱いやすい操作機構について研究を重ねた結果、ペダルの踏力の強弱によって原動機の出力をコントロールし、人力と補助力とを効果的に融合させる「ペダルアクセル」という新たな技術概念を1971年に確立しました。

 さらに、1989年には、この技術概念と最新の電子制御技術の組み合わせで、自転車の踏力を電動補助力によって軽減させることで、乗る人が疲れにくく手軽さにもあふれた乗り物の開発に着手しました。昨今、バッテリーやモーターは、バッテリー設計技術や電子制御技術などの進歩によって、高性能化とともに軽量・コンパクト化が急速に進んでいます。ホンダは、これらの技術を背景としながら、本年3月に発売した電気スクーター「CUV ES」の開発で培った最新のノウハウを活かすことで、補助動力部の大幅なメンテナンスフリー化や家庭で簡便な充電機能など、身近なコミュータに求められる必要要素を充たすことを目標に開発を進めてまいりました。

 近年、都市とその近郊での交通においては、交通渋滞や駐車場不足などから、目的や移動範囲に応じて四輪、二輪、自転車、公共の交通機関などを上手に使い分ける必要が高まりつつあります。しかし、パーソナル・コミュータの原点ともいえる「ホンダ ラクーン」は、軽量・シンプルで軽快な自転車を活かしながら、登坂路や向かい風、荷物の積載時などに体力的な負担を軽減すべく、“人”と“機械”を巧みに融合させた電動補助力によって、ペダルの踏力を軽減し、幅広い方々に手軽で便利に軽快にお使いいただける、新しい時代のペダル・アシストサイクルとして開発したものです。


ホンダのペダル付パーソナルコミュータの歩み
1952年発売「ホンダF型」
1952年発売「ホンダF型」


1973年発売「ノビオ」
1973年発売「ノビオ」


1984年発売「ピープル」
1984年発売「ピープル」



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