CRM 250 AR - 1997

CRM250AR
CRM250AR
 

パワーユニット



1997
 その具体的な要件としては、第一にAR燃焼コントロールのため排気ポート開口面積を3分の1程度まで塞ぐことでした。そのため、バルブ幅を排気ポート幅より広く、作動範囲は排気ポート上面から、ほぼ掃気ポート上面にまで及ぶ広範囲なものとしました。
 第二に、オフロード走行に求められる極低速域の粘りに必要な排気ポートオープン直後からのバルブシール性とスムーズな過渡特性を実現させるためのリニアなバルブタイミング特性を求めました。
 これらの要件を高次元で達成させるため、排気デバイスの定量解析を行い、排気ポート形状及びARCバルブ形状の決定を行いました。
排気バルブタイミング特性

排気バルブタイミング特性

この結果として

1997 1997
1. ARCバルブは鉄系、ロストワックス精密鋳造による薄肉形状とし、さらにバルブシール面には精密加工を施し、ピストン側面との微少クリアランスを設定できるものとした
 
2. シリンダーはバルブ軸心部で分割構造とするとともに、排気ポート部では分割面をポート内部にたくみに切れ込ませ、排気ポート側面の形状再構築を行っている。
このため、大型ARCバルブが組み込まれているとは思えないほどスムーズなポート形状となり、良好な排気ガスの流れを得ている

 さらに、これらの構造とした結果、ARCバルブはシリンダーに対し、その全周をわずかな隙間でおおい、気密性を高める事が可能となったため、ARCバルブ背面に形成されるボリュームをATACチャンバーとしても機能させることが可能となりました。
 これらによって、ARCバルブ排気ポート面に連通穴を設け、バルブ作動によるボリューム変化で自動的に低回転パーシャル域のトルクアップを図っています。
 また、ボア径をφ66.0mmからφ66.4mmに変更し、排気量を249cm3(従来モデル246cm3)のフルサイズとすると同時にシリンダーボア面にNSメッキを施し、冷却性向上と軽量化も図っています。
 以上のように、シリンダーおよび排気デバイスをさらに高機能化しAR燃焼コントロールを行うとともに、エンジン特性全体のコントロール性を向上させました。

シリンダーヘッド
 現行モデルでは、オフロード走行時の良好なドライバビリティのためには、緩慢燃焼が好ましい結果が得られていましたが、それに対し、AR燃焼においてはその特徴から急速燃焼が要求されます。そこで数多くの燃焼室形状の燃焼解析と実走テストの結果、安定したAR燃焼を発生させ、オフのドライバビリティにも優れた燃焼室形状を実現しました。

ヘッド比較図

ヘッド比較図



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