CR250R/125R/80R
- 1991.08
'92CR250Rは、より軽快な取り廻し性能を発揮させるため、エンジン、フレーム、足廻りを新設計としています。
具体的な変更点としては、軽量化とジオメトリー変更(キャスター角28°03′→26°03′、ホイールベース1,488mm→1,463mm)に加えて、スロットルワークに素早く反応するエンジン出力特性の実現などが、フレーム&サスペンションの操舵系バランスの見直しとあいまって、軽快で快適な乗り心地と高い戦闘力を高次元でバランスさせることに成功しています。 |
エンジンは、新排気デバイス「CRVシステム」を採用するなど新設計とし、これまでCRが実戦で煮つめて実証してきた66.4mm×72.0mmのボア・ストロークやNSシリンダー、中空クランクシャフトなど、高い評価を得ているスペックを継承しながら、全域にわたってパワーとレスポンスを向上させると同時に、軽量化に加え冷却性と整備性をも向上させています。 |
新排気デバイス「CRVシステム*」の採用 |
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メイン排気ポートには、新たにフラップバルブを採用し、同時にその左右にサブ排気ポートとロータリーバルブを設け、さらに、その外側にレゾネータ室を配置した「CRVシステム」を新たに採用。
システムの作動は、遠心ガバナによって6,400rpmでフラップバルブを開き、排気ポートタイミングをHi側に制御すると同時に、ロータリーバルブを作動させ、サブ排気ポート閉・レゾネータ開の状態からサブ排気ポート開・レゾネータ室閉に制御。排気開口面積と同時にチャンバー容積をも変化させることによって排気効率と排気脈動効果を高め、全域にわたって出力向上と、より一層リニアなレスポンスを生み出しています。
さらに、この精緻なメカニズムを、少ない部品点数(76点→35点)で実現したことによって、コンペティションマシンに不可欠な信頼性と整備性をも向上させています。 |
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*CRVシステム― |
Composite Racing Valve System
複合排気孔レーシングバルブシステム |
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CRVシステム図 |
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低回転時 |
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高回転時 |
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CRVシステムの作動 |
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主排気
ポート |
副排気
ポート |
レゾネータ室 |
↑
6,400rpm
↓ |
Hi |
開 |
閉 |
Low |
閉 |
開 |
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出力特性図 |
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冷却系 |
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従来の、 |
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| ウォーターポンプ→ホース×1→シリンダー→シリンダーヘッド→ホース×2→ラジエータ→ホース→(ウォーターポンプ) |
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という冷却水通路を、 |
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| ウォーターポンプ→R/Lクランクケース内通路→シリンダー→シリンダーヘッド→ホース×1→ラジエータ→ホース→(ウォーターポンプ) |
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へと変更。 |
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R/Lクランクケース内に冷却水通路を設けることによって、シリンダーのエキゾースト部と、シリンダー外周部からシリンダーヘッド部に直接冷却水を導入したことで、優れた冷却性と整備性を両立させただけではなく、軽量化をも実現しています。また同時に、ウォーターポンプからシリンダーへのホースを廃したスペースに、チャンバーを追い込んでレイアウトすることが可能となり、スリム化によるライダの足当たりを減少させています。
さらに、ウォーターポンプ軸を20mm上側に配置(対'91比)することで、優れたアンチ・グランドヒット性も確保しました。 |
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吸気系 |
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キャブレーターのインシュレータ内径を絞り込み、低・中速時の吸入流速を高めると同時に、リードバルブストッパーの形状を変更し、低速時の初期作動性を向上(対'91比)。これにより、幅広い回転域で吸気効率を高めています。 |
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シリンダーヘッド |
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燃焼室形状は、スパークプラグ直下部をコンパクト化するとともに、圧縮比を8.5から8.7に高め、燃焼効率を向上させています。 |
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クランクシャフト |
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ホンダ独自の密閉中空クランクシャフトは、クランク大端部のニードルローラベアリングの精度アップを行い、耐久性を向上させるとともに、クランクピン穴全体に熱処理を加え、クランクシャフトの結合剛性を高めています。 |
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点火系 |
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電子進角式CDIは、5,000rpm以下での点火時期を2°早めるセッティングとし、より適正化を図っています。 |
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駆動系 |
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クラッチ幅をつめ、エンジンの軽量・コンパクト化を一層推し進めています(エンジン全体幅では8mm)。
また、ドライブ/ドリブン・スプロケットは、14/51→13/49へと変更し軽量化を図っています。 |
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