CB1000 - 1992.11

CB1000
CB1000
 
スタイリングコンセプト

〈その体躯はあくまでもセクシー&ワイルドであること〉

 「CB1000 SUPER FOUR」の開発にあたっては、CBで育ったホンダファンのためのフラッグシップを目指しました。その出発点は従来のモーターサイクル創りとは異なったアプローチで進められ、自らCBファンでもある開発スタッフにとっても、ステイタスとしての価値を充分に認める“理想のバイク像”の追求からスタートしました。

 具体的には、プロスペックモデルなどの開発のように、限られた条件下での絶対的な性能のみを追求するのではなく、ライダーのメンタリティに訴えかける感動性能の追求を目指しました。

 その結果、一般的なデザイン開発手法である、
   (1) コンセプトの決定
   (2) ディメンションの決定
   (3) 基本レイアウト図の作成
   (4) イメージスケッチからレンダリングの作成
   (5) クレイモデルの作成
   (6) 各部仕様の決定
   (7) 最終モックアップの作成

といったデザインの設計手順を離れ、空間での創作という、ロジカルではなくエモーショナルな開発手法が採られました。それは、あたかも、ユーザーが自分のガレージでモーターサイクルと対話するような、手づくりによる創作でした。

CB1000

 まず、スタイリングを決定づける上で重要な要素であるエンジンは、次世代を見据えて、高性能の維持と静粛性に優れ、さらに、CBファンのフラッグシップモデルとするために、
   (1) ホンダの水冷・DOHC・直列4気筒で最大排気量の1000ccを選択。

 そして、このエンジンを前提にイメージスケッチへと進み、開発スタッフの心の中にある、大きく・太く・荒々しい・妖艶なイメージを実際にカタチにしていくという、思い入れ先行の手法で、各部のデザインを検討しました。

 具体的には、エンジンと18インチホイールを実際に空間に配し、これを出発点に、イメージスケッチを横目で確認しながら、フューエルタンクの造形をはじめ、各部の外装パーツのイメージを空間で確認し、デザインワークを進めました。彫刻の創作とも似たこの手法により、セクシー&ワイルドなプロポーションの具現化を目指しました。

 その結果、
   (2) BIG-1にふさわしい車格とフォルムを実現するための、1,540mmのロングホイールベースを設定。
   (3) ビッグな車体を支える足廻りには、フロント/リアともに迫力の18インチのワイドラジアルタイヤ(F:120/70R18 59V/R:170/60R18 73V)を装着。

という2つの要素を決定し、これをエンジンの選択に加えて「CB1000 SUPER FOUR」のスタイリングを決定づける基本3要素としました。




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