ホンダ 新安全技術の研究 - 2000.05

Technology
ホンダ 新安全技術の研究
 
歩行者傷害軽減技術

歩行者傷害軽減技術の進化のために、
第二世代歩行者ダミーを開発。

第一歩として着目した頭部傷害の軽減から研究対象部位を拡大します。
1998年に世界に先駆けて発表した歩行者ダミーは、歩行者衝突時の人体の挙動解析を行うものでした。
その成果として、衝突時に歩行者の頭部 傷害の軽減をめざした歩行者傷害軽減ボディを開発。それを採用した商品を次々と世に送り出しています。
98年9月発売のHR-Vを皮切りに、軽シリーズ、オデッセイなどに適用を拡大。累計販売台数は、2000年4月末で50万台を超えております。
そしてこのたび、歩行者の傷害軽減部位の拡大をめざし、より人体に近い構造できめ細かなデータが収集できる第二世代歩行者ダミーを開発しました。
【第二世代歩行者ダミー】第二世代歩行者ダミー

【第二世代歩行者ダミーの衝突実験】
第二世代歩行者ダミーの衝突実験1 第二世代歩行者ダミーの衝突実験2 第二世代歩行者ダミーの衝突実験3 第二世代歩行者ダミーの衝突実験4 第二世代歩行者ダミーの衝突実験5

頭部〜下肢の8箇所による傷害値の計測で
歩行者傷害軽減技術の研究をさらに進化させます。
クルマのスタイルが多様化する近年において、死亡事故における傷害部位、加害部位とも変化してきていることがわかりました。
このたび開発した第二世代歩行者ダミーは、構造を人体特性に近付け、データ測定部位も拡大。頚椎や腹部、大腿部などを含め頭部から下肢までの多くのポイントで傷害値を計測します。
また、特に傷害が多く発生する脚部では、膝の半月板や靭帯までをも再現。脚部重傷事故の解析が可能となりました。
さらに従来の加速度だけでなく、角加速度、荷重、モーメントなどを計る計器をダミーに内蔵。人体の傷害値を計測できる構造としました。
【第二世代歩行者ダミー傷害値計測箇所】

計測値 傷害評価
1.頭部 加速度/角加速度 頭蓋骨骨折/脳傷害
2.頚部 荷重/モーメント 頚椎傷害
3.胸部 加速度/たわみ 臓器傷害
4.腹部 加速度/たわみ 臓器傷害
5.骨盤 加速度 骨折
6.大腿部 荷重/モーメント 骨折
7.膝部 荷重/モーメント/加速度 骨折/靭帯損傷
8.頸骨 荷重/モーメント 骨折

【実際の人体構造とダミーの膝内部】
実際の人体構造とダミーの膝内部
【ダミーの胸内部】
ダミーの胸内部
胸部内蔵計測システム

ホンダは、第二世代歩行者ダミーを商品開発へ活かすと同時に、歩行者傷害軽減技術が一台でも多くのクルマに採り入れられるよう、関連する機関に公開していく予定です。より多くの関係者とともに、ホンダが先鞭をつけたこの分野の技術を広めていきたいと考えております。



前ページへ 前ページへ前ページへ 目次へ次のページへ 次のページへ 次のページへ