開発にあたって NSXは、新しい価値をもつスポーツカーとして1990年に誕生しました。 大排気量から小排気量まで幅広いスポーツカーカテゴリーのなかで、 あえて3リッター級のミドルウエイトクラスを選択したのも、またオールアルミボディ、 自然吸気エンジンなどにこだわったことも、この「新しい価値を創造したい」という 思いがあったからです。そして、排出ガス性能など時代の要求にいちはやく応えたのも、 すべてはこの原点となる考えがあったからに他なりません。 そのNSXが2001年、新たな進化を果たしました。 空力スタイリング、タイヤサイズアップなどを行い、さらなる速さと楽しさを実現。 この進化により、我々NSX開発チームに息吹きのような新たな志が芽をふきました。 初代NSX-R誕生から10年。あの、未踏の山頂に挑むような、熱い気持ちがほとばしる 「タイプR」開発への意欲が再び湧き上がってきたのです。 「タイプR」の役割は、ロードカーとして、スポーツドライビングを愛するドライバーへ あらゆるサーキットにおける「究極の速さと、操る楽しさ」を提供することにあります。 今度の「タイプR」の開発でめざしたのは、新しい空力技術を用い、 今までとレベルの違う、高い「安定性」と「コントロール性」の実現です。 それにより、低速から高速まで、幅広く奥の深い「速さと楽しさ」を獲得しました。 膨大な時間と情熱を注ぎ込み、スポイラーの角度、スタビライザーの径、 サスペンションブッシュの硬度ひとつを変えただけでも「タイプRではなくなる」と言えるほど、 スポーツカーとしての“純度”と“バランス”を研ぎ澄ましたのです。 人とクルマの距離を近づけ、濃密な対話を楽しみながら、厚い信頼感のもとに 圧倒的な速さを引き出せるクルマとなりました。その奥深き性能を 一番感じていただける“サーキット”において、堪能いただければ幸甚です。
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