CIVIC TYPE R - 2001.10

CIVIC TYPE R FACT BOOK
CIVIC TYPE R 2001.10.18
開発にあたって

開発にあたって

シビックは誕生以来20余年、常にコンパクトカーのベンチマークをめざし
世界にその活躍の舞台を求め、そして認められてきました。 時代が進んだ今日でも
ホンダ=シビックというまでに大きな成長を遂げてきました。
歴代をひとつひとつ振りかえっても、先輩エンジニアが手塩にかけたものばかりであり
それぞれの時代における最新技術とHondaの開発思想を体現する
モデルであった、と改めて痛感します。

時代は今、コンパクトカーに対してあらゆる評価領域、
たとえばコンセプト、スタイリング、操作性、動的性能、環境や安全技術
そして価格に至るまで、非常に厳しい選択眼を注ぎ込んでいます。
特にこのカテゴリーは、クルマ先進国といわれるヨーロッパに最もライバルが多く
それだけ厳しい評価を下すマーケットとしての土壌であることも意味し
「ヨーロッパを制する者がコンパクトカーを制す」とまで言われる所以です。

そういう状況下で、言い訳なしにすべての評価領域でライバルを凌駕することは
至難の業とも思われました。加えて日本専用モデルとして
シビックハッチバックの最高峰モデル「TYPE R」を開発する決定がなされたのです。

この決定に際し、当初「高すぎる目標を与えられた」という思いが去来したのは事実ですが
私達開発チームはHondaのエンジニアとして、あるいはデザイナーとして
これをむしろ大いなるチャンスであると考えるようになりました。
この開発は私達が「自らの持てるすべての力を振り絞って当たる」ことであると同時に
むしろクルマの本場ヨーロッパのさまざまな道で鍛えに鍛えるチャンスを得られることであると
発想転換し、まったく新しい「シビックTYPE R」を日本のお客様に
お届けできることに大きな価値を見出したのです。

そして今、私達は“万端の準備を整えた後、レース本番を前に心地よい緊張感に
包まれている”、そんな気持ちを胸の奥に感じながら日本での発表の日を迎えました。
「ニューシビックTYPE R」は、これまでのTYPE Rがサーキット走行を前提として
開発されていたのと比べ、ヨーロッパ育ちの素性を生かしサーキットではこれまで以上に
そしてワインディングロード、マウンテンロードなどの一般道でもドライバーがクルマと
えもいわれぬ一体感を感じつつ深い味わいをもって駆れる絶妙の一台になったと
自負しています。願わくば、「ニューシビックTYPE R」のオーナーとなられる皆様に
このクルマに秘められた数々の魅力を余すところなく感じていただけたなら幸いです。

開発責任者 蓮子末大


Photo 【はっし すえひろ】(株)本田技術研究所 主任研究員
1972年、(株)本田技術研究所入社
入社以来、初代プレリュード、2・3代目シビックのサスペンション設計を担当。
その後、完成車研究開発部門で初代CR-Vなどの先行研究LPLを経て
商品企画を担当。さらに現行シビックのプラットフォーム開発LPLを経て
欧州3ドアシビックと今回のシビックTYPE RのLPLを務める。


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