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NSX - 1990.09

NSXのポテンシャルを最大限に生かしきるための 新ブレーキ・コントロール・システムの開発コンセプト。 圧倒的な動力性能をもつマシーンであるほど、それを充分に上まわるブレーキ性能を所有すべきであると考えます。 ホンダは、さまざまな路面でつねに最短距離で停止でき、なおかつフラつかないスタビリティのよさを実現することを目標として、M・R方式に最も適したブレーキ制御の研究開発を進めてきました。 そして、世界各地で過酷なテストを繰り返し、熟成。 そのポテンシャルを高次元で引きだす高性能4チャンネル・デジタル制御A.L.B.を完成させました。それは、ただ単に4チャンネル化を図るのではなく、制動時の方向安定性をも徹底して追求。とりわけ旋回時のブレーキングとスプリット路面での制動性能に優れた、一級のブレーキ・コントロール・システムに仕上がっています。 すべてのタイヤから、余すところなく制動力を引きだす NSX用4チャンネル・デジタル制御A.L.B.。 NSXのA.L.B.は、4輪すべてを独立して制御することにより、すべてのタイヤから制動力をフルに引きだし、路面状況に応じてつねに最適な制動力を発揮するものです。 たとえば、滑りやすい路面でのブレーキングはもちろん、旋回中にブレーキングした場合でも、旋回中はコーナー外側のタイヤに荷重がかかっているため、路面の左右μが同じでもコーナー内側の後輪タイヤがロックしやすくなりますが、4輪独立制御とすることで、外側タイヤのグリップ力を生かしながら安定した制動力を得ることができます。 また、左右で路面のμが異なる場合、左右のタイヤをそれぞれのμに合わせて独立制御すると、高μ側と低μ側で制動力の差が発生します。この差はヨーモーメントとなって車体を回転させようとする運動力を生み、そのままでは車体が横滑りしてしまう怖れがあります。NSXでは、これを回避するため、A.L.B.の作動初期に高μ側の制御を一瞬ゆるめることでヨーレートの立ち上がりを遅らせ、適正なフロントのサスペンション・アライメントと相まって、優れた方向安定性と制動力を両立させているわけです。 フロントに2ポット・キャリパーを採用した、 4輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキ。 冷却性能が高く、耐フェード性に優れたベンチレーテッドディスクを、4輪に採用しました。 高Gブレーキングに対しては、ブレーキ配分の増加するフロントに厚さ28mmのディスクと、ロアアームに取り付けられた冷却用エア導風板により、限界性能を高めています。 さらにキャリパーは、ブレーキフィールに重要な高い剛性を得るために、スチール製のフロント2ポット、リア1ポットキャリパーとしています。この2ポットキャリパーは、シングルポットと比較して、コンパクトなままピストン面積を増加させ、より有効なブレーキ力を得ることができるものです。 またフロントでは、ピストン径をディスクの介入側φ36.1mmに対し介出側をφ40.4mmと異径にすることにより、パッドを押し付けるさいにディスクの回転によって生じるモーメントを打ち消し、パッドとディスクが当たる面の面圧をより均一にし、優れた制動力と安定したブレーキフィールを可能にしています。 フロント リア

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