刻々変化するさまざまな走行状況のなかで、つねに最適な特性を引きだせるよう、ジオメトリーをはじめ、きわめて細やかなチューニングを施しています。
フロント・サスペンションは、まず、キャスター角を8°と大きく設定し、優れた直進安定性を実現しました。と同時に、この大キャスター角により転舵キャンバー変化が増加し、旋回時にタイヤが路面に対してより垂直に立つことで、あざやかな旋回性能も身につけました。
ただし、大キャスター角はキャスタートレールの増加をともなうため、旋回時の路面からの入力により、ステアリング保舵力が大きくなる問題が残っています。そのため、キングピンをタイヤセンターより後方へオフセットし、キャスタートレールを小さく設定。直進安定性とステアリングの軽快感、リニアリティを両立するハイキャスター・ショートトレールを実現しています。
また、ホイールセンターでのキングピンオフセットを34mmと可能なかぎり小さくして、キックバックやジャダーといったステアリングに伝わる不快な現象の低減も図っています。
さらに、フロント・リアともに、路面との接地点におけるキングピンオフセット量を-5mmのネガティブ・オフセットとすることで、ブレーキング時の安定性を大幅に高めています。
一方、リア・サスペンションでは、外力によるアライメントの変化を減少させるため、キャスター角、キャスタートレールともにゼロに設定。そのうえでトーコントロールすることにより、おだやかで安定した挙動をもたらしています。 |