LEGEND - 1990.10

LEGEND
LEGEND

SAFETY

SRS AIRBAG SYSTEM

イラストはSRSエアバッグシステム&シートベルト・プリテンショナー
イラストはSRSエアバッグシステム&シートベルト・プリテンショナー

国産車初、助手席用SRSエアバッグシステム(装着車を設定)
助手席用SRS*エアバッグシステム

助手席用エアバッグ装置断面図
ホンダSRSエアバッグシステム。前方向からの衝突時にエアバッグが窒素ガスによって瞬間的に膨脹し、特に顔面などへの衝突を緩和する画期的な乗員保護システムです。シートベルトと併用することで効果を発揮します。ホンダは、運転席用SRSエアバッグシステムを約16年間にわたる研究開発を経て、1987年に国産車メーカーとして初めて発表。レジェンドに搭載しました。以来、その乗員保護効果は高い評価を集めていますが、ホンダは助手席用SRSエアバッグシステムの開発についても、早くから取り組んできました。助手席は運転席とは乗車環境が異なり、(1)乗員の姿勢が一定でないこと(2)子供が着座する場合もあり、乗員の体格差が大きいことなどの点で、助手席用SRSエアバッグシステムはさまざまな角度から分析されなければなりません。なかでも、こうした不特定な乗車姿勢や体格差をカバーするためには、大容量のエアバッグが必要であり、それをいかに収納し、いかに展開させるかが、ひじょうに難しい技術課題となります。しかし、ホンダは種々のテストと検討を繰り返し、これを解決。日本で初めて「助手席用SRSエアバッグシステム」として完成させ、新レジェンドに搭載しました。
SRS=Supplemental Restraint System(シートベルト補助 乗員保護装置)

●センサー
ダッシュボードの両サイド下に1個ずつ取り付けられたダッシュセンサー。センタートンネル部の、室内に設置された診断ユニット内のカウルセンサー。これら2種類のセンサーが、一定以上の前方向からの衝撃を感知すると運転席用・助手席用の両システムが同時に作動します。
●エアバッグ
助手席用エアバッグは運転席用とは異なり、ステアリングホイールがないため、エアバッグを乗員とインパネ/フロントウインドウとの間に展開させなければなりません。その上で乗員のさまざまな体格や姿勢、衝突形態を想定した数多くのテストを行い、乗員を効率よく受け止める大きさ・形状を設定。エアバッグ容量は約150Lとなっています。
●取り付け位置
助手席用SRSエアバッグシステムはインパネ上面、しかも乗員からできるだけ離れた位置に取り付けられており、また、乗員の方向に直接展開するのではなく、フロントウインドウにそって上方向に展開するように設定されています。これにより乗員に対して、エアバッグが展開した時の衝撃をできる限り小さくすることができます。

[作動プロセス]
前方向からの衝突が起こり、ダッシュセンサーとカウルセンサーの両方が一定以上の衝撃を感知して作動すると、インフレーター(窒素ガス発生装置)の電気点火装置(ヒーターおよびジルコニウム過塩素酸カリウム)に電気信号が送られ、インフレーターから窒素ガスが発生し、エアバッグが展開。エアバッグは助手席乗員の顔面等を受け止めた直後からエアバッグ背面に設けられた2個の排出孔から窒素ガスを効果的に排出することで、乗員への衝撃を緩和します。以上の全プロセスに要する時間は約0.125秒。人間のまばたき1回(約0.2秒)より短い時間で終了します。

助手席用SRSエアバッグシステムの作動プロセス

運転席用SRSエアバッグシステム。
通常時ステアリング中央部に収納されているエアバッグの容量は約60L。助手席用と同様に、約0.1秒で衝撃感知から窒素ガス排出までの全プロセスが終了します。

SRSエアバッグシステムもシートベルト・プリテンショナーも高い信頼性を実現しました。
SRSエアバッグシステムとシートベルト・プリテンショナーは、乗員保護に関する装置であるために、きわめて高い信頼性が要求されます。特に不必要時の誤作動と、必要時の不作動の危険性をなくすことがひじょうに重要です。ホンダではNASA(米国航空宇宙局)で確立された信頼性確立の手法をベースに、最新の信頼性工学に基づく統計的解析手法を駆使。その他、コネクターやセンサーへの金メッキ接点の使用や、詳細重量管理を徹底化することで、高信頼性を確立しました。



← 前のページへ --- 目次へ --- 次のページへ →