LEGEND - 1985.10

LEGEND

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リア・サスペンション


かつてない上質な走りをもたらす新設計、
RF
(リデュースト・フリクション)ストラット・リアサスペンション。

ダンパーフリクションを徹底的に低減化。
RF(リデュースト・フリクション)ストラット・リアサスペンション。
リアサスペンションはFF車の運動性能を大きく左右するものです。レジェンドのリアサスをどの方式で実現するか。この問題は、ホンダ技術陣のあいだで大いに議論を沸とうさせました。結局、そのクルマの特性にもっともふさわしいサスペンション方式を選んで採用するという、ホンダのもつポリシーを貫き、快適な乗り心地の達成に大いに寄与するストローク量を大きく設定でき、しかもスペース効率の良いストラット方式を選択しました。
しかし、従来のままのストラット方式では、確かな高速直進性、操縦性と快適な乗り心地を高次元で両立させるには充分とはいえません。そこで、ホンダはダンパーフリクションを極限まで減少させることを最大のテーマに、徹底的な改良を実施しました。そして、〈ダンパーフリクション0〉だけでなく〈対地キャンバー変化0〉、〈トー変化0〉をめざした、新世代のストラットサスともいえる“RF(リデュースト・フリクション)ストラット・リアサスペンション”を完成させました。

リアサス リアサス

〈ダンパーフリクション0〉をめざすロアアーム・センターピボット方式と
モーメントキャンセリング・ダンパーマウント。
ダンパーのなめらかな作動をさまたげるフリクションを極少化するために、まずコイルスプリングをダンパー部分と分け、ロアアーム上に配置。上下方向の荷重はロアアームが直接受ける構造としました。
そのうえで、ロアアームの先端を極力、タイヤ幅のセンターに寄せる、ロアアーム・センターピボット方式を採用。タイヤの倒れモーメントをほぼなくすことに成功しました。これによってダンパーのフリクションを起こす外力を解消しています。
さらに、ダンパーとコイルスプリングを分離したことにより、ダンパーマウントの設計自由度が大きくなりました。ホンダは、ダンパーマウンティングセンターをダンパー上端部より、120mmあまり下方に設定することにより、ダンパーしゅう動部のサイドフォースを大幅に抑えることができる新機構“モーメントキャンセリング・ダンパーマウントを採用。これにより、ダンパーフリクションの極少化を、いっそう完全なものにしています。
 
モーメントキャンセリング・ダンパーマウント
モーメントキャンセリング・ダンパーマウントの採用により、Aの長さ分だけスペース効率を高めることができました。

高性能タイヤの能力をフルに発揮させる〈対地キャンバー変化0〉。
コイルスプリングをロアアーム上に配置したことによりスペース効率に優れた形状のダンパーマウントを採用できました。これによって、トランクルームのスペースを犠牲にすることなく、充分なダンパー傾斜角をもたせることができました。つまり、ストラット方式でありながら大きなキャンバー変化率を獲得することができたのです。急旋回時にも、タイヤを常に路面に対して垂直に維持。タイヤの能力をフルに発揮させることができます。トランクルームに重い荷物を満載したときでも高いグリップ力を提供。したたかな走りを実現しています。

優れた高速直進性をもたらす〈トー変化0〉。
サスペンションに加わる前後力、横力、ステアモーメントなど外力による影響について、徹底的な解析を行いました。その結果から、最適な特性が得られるようにブッシュ類をレイアウト。前後コンプライアンスを大きくとっても、トー変化が少ない理想的なサス・ジオメトリーを実現しました。“静かなる高速移動空間”のフットワークにふさわしい、素晴らしい高速直進性を獲得。さらに、車高変化によるトー変化も小さいことから、スプリングもソフトな特性のものを採用することができました。大きなストローク量ともあいまって、かつてない快適な乗り心地も達成しています。

キャンパー変化   トー変化




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