LEGEND - 1985.10

LEGEND

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V型6気筒《1カム・4バルブ》エンジン


静かなる高性能。
V型6気筒《1カム・4バルブ》新エンジン。

エンジンイメージ
2.5L V6《1カム・4バルブ》エンジン

V型エンジンは、そのなめらかで静かな走りの性能から、世界の名車のあいだで、ひとつの常識となっています。ホンダは、このV型エンジンの美点をさらに高め、磨きあげることをめざしました。それは、まずV型エンジンの効率を徹底的に高め、次にその高性能エンジンに驚異的ともいえる軽量・コンパクト化を実現させることです。さらに、静粛性、信頼性も徹底して追求しました。その結果誕生したのが、ホンダの新世代「V型6気筒《1カム・4バルブ》新エンジン」。歓びにあふれた走りを実現する、高いポテンシャルを息づかせています。2.5Lと2.0L、この2つの革新の新エンジンが発揮する“静かなる高性能”に、どうぞ、ご注目ください。

2.5L V6 1CAM・4-VALVE+PGM-FI
総排気量   2,493cm3
最高出力 165PS/6,000rpm(ネット値*)
最大トルク 21.5kg-m/4,500rpm(ネット値*)
10モード走行燃料消費率 9.6km/L(運輸省審査値 E-KA2、5速マニュアル車)

2.0L V6 1CAM・4-VALVE+PGM-FI
総排気量   1,996cm3
最高出力 145PS/6,500rpm(ネット値*)
最大トルク 17.0kg-m/5,500rpm(ネット値*)
10モード走行燃料消費率 9.8km/L(運輸省審査値 E-KA1、5速マニュアル車)

「ネット」とはエンジンを車両搭載状態で測定したものです。「グロス」とはエンジン単体で測定したものです。
燃料消費率は、定められた試験条件での数値です。従って、運転条件等により異なります。

“静かなる高性能”を軽量・コンパクトに達成する
V型6気筒《1カム・4バルブ》新エンジン。
なめらかさと静かさを得るためには、エンジンの気筒数を増やすこと、つまり多気筒化することが有効です。しかし、いたずらに多気筒化することは、エンジン本体が大きくなるばかりで、スペース効率に難点が生じます。これは、ホンダが主張しているクルマづくりの哲学=MM思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム:人間のためのスペースを最大限に、メカニズム・スペースを最小限に)に合致しません。美しい空力フォルムと優れた前方視界、そして、ゆとりあるキャビンスペースを実現するショートノーズ・低ボンネットがホンダのクルマづくりの基本です。そのためにエンジンは、コンパクトなものでなければなりません。しかも、FF車にとってエンジンの軽量化も、高性能な走りを実現する上での大きな課題です。高性能・高効率なエンジンをいかに軽く小さくつくるか。これが、ホンダのエンジン開発のコンセプトです。そこでホンダは、V型6気筒エンジンを横置きに設定。しかも前後バンク角を90°にすることによってV型6気筒エンジンの新しい可能性を追求しました。

極限に迫る吸・排気効率をめざす
1気筒4バルブ、センタープラグ方式。
エンジンの高性能化の基本は、吸・排気効率と燃焼効率の向上にあります。1気筒4バルブ方式は、ボア径に対して最大のバルブ面積を確保でき、しかも燃焼室内のガスの流れがスムーズなクロスフロー吸・排気方式が採用できるため、卓越した吸・排気効率を発揮します。さらにプラグを燃焼室中央に配置し、ボア周辺までまんべんなく火炎を伝播することができ、優れた燃焼効率の実現に大いに寄与します。ホンダは、この1気筒4バルブ、センタープラグ方式をV6エンジンに採用。極限に迫る吸・排気効率の実現をめざしています。   クロスフローシステム図
クロスフローシステム図

4バルブ方式の効果を、さらに高める
スイングアーム方式ハイ・バルブリフト設計。
バルブ開口面積が同じならば、バルブリフト量が大きいほど吸・排気効率は高くなります。ホンダは、4バルブ方式のすぐれた吸・排気効率をさらに向上させるためにV6エンジンにスイングアーム方式を採用しました。吸気側はカムシャフトとバルブのあいだに、排気側はカムシャフトとプッシュロッドのあいだに、それぞれスイングアームが配されています。この方式によりバルブリフト量を大きく確保することができました。同時にバルブ自体の重量を軽くすることができるため、バルブの高回転追従性の向上にも大きく貢献しています。また、スイングアームのピボット部(支点)にはホンダ独自の超小型ハイドロリック・ラッシュ・アジャスターを配置。メンテナンスフリー化を達成し、高性能エンジンの信頼性をより確かなものにしています。  
バルブリフト量

2.5L 2.0L
吸気側(mm) 9.6 9.1
排気側(mm) 8.6 8.2

最適空燃比を瞬時に算出。
電子燃料噴射システム、PGM-FI。
走行中のさまざまな状況をキャッチして、高精度デジタルコンピュータが即座に最適な空燃比を実現する燃料量を算出し、これを正確にエンジンへ送りだします。ホンダF-1にも採用されているホンダ独創のシステムです。急激な吸気量の変化にも即応し、レスポンスの高い爽快な走りをもたらします。また、高精度なO2センサーをそれぞれのエキゾーストマニホールドの集合部に各1個ずつ、計2個設置。より精密な検出機能を実現し、燃費、ドライバビリティの向上に貢献しています。   電子燃料噴射システム、PGM-FI




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