CIVIC&BALLADE - 1983.09

CIVIC & BALLADE
FACT BOOK
CIVIC&BALLADE
開発ストーリー

●開発ストーリー
技術者が5人いれば、5通りの考えがあります。
10人いれば、10通りの主張があります。
それぞれに思い描く、次の時代のクルマ。
議論、また議論。
そこでホンダは、ひとつの思いきった判断を下しました。「そんなに言うのなら、じゃあみんな別々に思いどおりのクルマをつくってみろ」
すべては、この上層部の決断から始まりました。
シビックが、世界89ヵ国を舞台に大活躍を続けている頃、技術者たちはすでに様々な葛藤を始めていました。
世の中のクルマが、次から次へFF化に向かっている時もまた、新たなFFをめざして発進していました。そしてシティが出ました。ノッポのトールボーイデザインが多大な注目を集めました。しかしその時も、ノッポはいい、だけど自分たちには自分たちの描くクルマがある、求めるカタチがあると、新たなテーマに取り組んでいたのです。
次の時代のクルマは?の問いに、様々なクルマ像が飛び交いました。あるメンバーは、走ることの夢を徹底的にかなえたクルマがいいと熱く語りました。ある者は、大人5人がゆったりと乗れる、どこまでも快適なクルマが必要だと力説しました。時代の空気をもったもの、都会的センスを重視したもの、あるいは乗る人それぞれが自由にオリジナルな発想で乗りこなせるクルマなど、まさに様々な主張がありました。
そんななかで、ただ共通して言えることは、「国際車」としての高い基本性能を十二分に充たしたうえで、「クルマを知的生活の道具にしたい」という強い意志でした。上層部は、そんなスタッフの精神の昂揚を意気に感じ、“やってみろ”の大英断をついに下したのでした。

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