CITY - 1982.09

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●エンジン(8)

〈噴射〉4気筒順次噴射方式の採用

コンピューターによって燃料の噴射量が決定されると、コンピューターからインジェクターヘパルス信号が流れてインジェクターを作動させ、燃料を噴射します。
この方法としては、TBI(スロットルバタフライの上流に噴射する方式)、倍数噴射や2群噴射(いずれも4気筒ないし2気筒をまとめて噴射する方式)などがありますが、PGM-FIでは各シリンダーごとにインジェクターを取り付け、爆発順序に従ってそれぞれの吸気行程で各シリンダーが必要とする燃料の量を噴射する、最も進んだ4気筒順次噴射方式を採用しています。
その特長は、次のとおりです。

噴射

応答性にすぐれた正確な燃料供給が可能となる。
運転状態が変化する場合には、厳密に言えば、エンジンの要求する燃料の量は、爆発順序に応じて各シリンダーごとに変わってきます。
TBI方式の場合は、インジェクターが各々別個に設けられておらず、しかもエンジンから離れたところに位置しているので、もともと各シリンダーごとの正確な応答性はそれほど期待出来ません。
また、倍数噴射や2郡噴射の場合は、各シリンダーごとにインジェクターが設けられてはいるものの、4気筒ないし2気筒のインジェクターがまとめて噴射してしまうため、こちらも各シリンダーの変化に完全に追従していけるとは言い切れません。
4気筒順次噴射方式では、運転状態が変化するさいにも、各シリンダーがその時々に要求する燃料の量を、必ずその吸気行程で噴射するため、応答性にすぐれた正確な供給が可能となります。
減速時の燃料カットゾーンを低回転まで下げられる。
減速時燃料カットゾーン
燃料噴射エンジンは、一般に、減速時の燃料をカットして燃費性能の向上を図っています。しかし、カット状態から燃料を復帰させるエンジン回転数は、運転性の問題からアイドル回転まで一気に近づけることが出来ませんでした。
たとえば、復帰するさい一斉に燃料を噴射すると大きなトルクショックなどが発生するためです。
ところが、この4気筒順次噴射方式では、復帰時も各シリンダーごとに必要な燃料量をきめ細かくコントロール出来るため、運転性をそこなうことなく、きわめて低回転域まで燃料カットを出来るようになりました。
このことは、すぐれた燃費性能の実現に大いに役立っています。

以上のように、ホンダオリジナルPGM-FIでは、〈検出〉〈制御〉〈噴射〉という基本的な3つの機能をその応答性と正確さにおいて
可能なかぎり高いレベルでまとめあげています。
また、周辺技術として————

スロットルボディには、低・中負荷のアクセルワークに対してなめらかな空気量変化をもたらすために、2つの主室用スロットル通路とバタフライを設けました。ここにはさらに、冷気時に適正なファーストアイドル回転を与え、エンジン水温の上昇とともに、自動的に適切な回転に下げるファーストアイドル機構も設けています。
インジェクターから噴射される燃料には、つねに2.55kg/cm2の圧力がかかっていますが、この高圧燃料配管系は充分な構造上の配慮と適切な材料の選定により、きわめて高い信頼性を確立しています。
コンピューターには、フェールセーフ回路が組み込まれており、万一、センサー等が故障しても、充分に自走出来るよう配慮しています。

——などの技術がPGM-FIの核となる3つの基本機能と相まってすぐれた燃料供給システムを実現しました。
そしてまた、このすぐれた燃料供給システムがあって初めて、高出力で、レスポンスが良く、しかも低燃費を誇るハイパーターボが可能となったわけです。

安心のフェールセーフ機構




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