CITY - 1982.09

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●エンジン(4)

1.2lでこの数値!! 無鉛ガソリン車で世界最高の
最大過給圧/出力・トルク
最高出力100PS/5,500rpm●最大トルク15.0kg-m/3,000rpm

出力アップのポイント。
新ファンネル型燃焼室と圧縮比

過給をしていった場合に、燃焼システムと限界過給圧および出力向上率との関係が具体的にどうなっていくか、下の図を見ながらご説明していきましょう。
なお、この図は、先に述べた理由から、燃料は無鉛レギュラーガソリンで、そして点火時期は出力および燃焼効率に対して最適なものを与えたうえでのものです。
図1は、圧縮比と過給圧の限界(ノッキングの発生しない範囲での最大過給圧)との関係を示しています。ここではまず、燃焼室のアンチノック性能にかかわらず、圧縮比を下げるほど過給圧を上げられることがわかります。
図2は、圧縮比とその限界過給圧を組み合わせた場合の、最大出力向上率を示したものです。ここでは、圧縮比を下げていって過給圧を上げていく方が、ある圧縮比までは出力が向上することがわかります。
したがって、過給エンジン本来の目的である出力向上を最大にするためには、その領域まで圧縮比を下げていくことが必要です。一般に、その領域は圧縮比7から8の間にあると考えられます。
一方、図1で示すように、無過給状態で圧縮比を高くすることのできるアンチノック性能にすぐれた燃焼室の場合は、過給した場合でもその過給圧の限界がそれだけ高くなり、図2に示すようにそのぶん出力の大幅な向上が実現できるわけです。コンバックスエンジンの場合、ちょうどBのラインにあたります。
ハイパーターボでは、まず、この最も出力を向上出来る圧縮比を、実験データにもとづき「7.5」に設定しました。そのうえで、圧縮比を「7.5」とすることで生じる燃焼室の瞭間(すきま)容積(ピストンが混合気を圧縮しきった状態における燃焼室容積)の余裕をファンネル型(ジョーゴ型)燃焼室の高さを増すことに利用しています。
ファンネル型燃焼室は、図3に示すように、もともとが高さ方向に充分なボリュームをとることを基本として、アンチノック性能を高めたホンダ独自の燃焼室ですが、ハイパーターボではバルブの位置まで変えるなど、この高さをさらに増して、一段とアンチノック性能を高めたわけです。
したがって、図1図2に示すように、ハイパーターボの場合のアンチノック性能はAのラインまで向上し、0.75kg/cm2まで過給圧を高めることが出来、じつに50%もの出力アップの実現につながっています。
圧縮比と過給圧の限界 出力向上率の限界

新ファンネル型燃焼室
新ファンネル型燃焼室

燃焼室を、従来のウェッジ型や半球型ではなく、ジョーゴ型にすることにより、エンドガスゾーンに充分なボリュームが生まれ、燃焼室のセンターゾーンとエンドガスゾーンがスロープ状に最短距離で結ばれるため、超速度の火炎がスピードをゆるめることなくエンドガスまで一気に燃やしてしまいます。そのため、高圧縮比下や過給した場合のエンドガスゾーンの自己着火によるノッキングが抑えられます。
このファンネル型燃焼室の原理をおし進め、ハイパーターボでは燃焼室全体の高さをさらに2mm上げました。

副室諸元の選定

ハイパーターボでは、説明してきましたように、最も出力を向上出来る圧縮比を選定したわけですが、そのままでは過給域以外の燃焼効率の大幅な低下を招きかねません。
そこで、高さを増した新しい主燃焼室(新ファンネル型燃焼室)に、副室からトーチ火炎がスピーディにくまなく行きわたることを狙って、副室諸元を再設定しました。
まず、副室容積を増やして副室のエネルギーを高め、トーチ孔を小さく絞ることによって火炎の貫通力を高めています。
これにより、過給域以外の燃焼効率の低下を最小限にとどめることが出来、後で述べる低燃費化の技術と相まって、ターボ車の域をはるかに超えた低燃費を可能にしました。



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