BEAT - 1991.05

BEAT
BEAT

TECHNICAL NOTES

BODY コンピュータによる応力解析
コンピュータによる応力解析
高剛性と軽量化を両立したミッドシップ・フルオープンモノコックボディ。
十分なボディ剛性を確保しなければ、どんなに高性能なメカニズムを搭載しても、そのポテンシャルは存分に発揮されません。しかも、走りの基本性能のみならず、万一の際の衝突性能などクルマのさまざまな性能に大きく関わってくるのがボディの剛性です。しかしボディ剛性確保のために、各構成部の断面をいたずらに大きくとれば室内は狭くなり、一方、板厚にばかり頼るとクルマは重くなってしまいます。ボディ剛性を高めながら、適切な居住スペースを確保し、重量アップも最小限に抑えることが必要です。コンパクトサイズのオープンボディとなれば、この達成はいちだんと難しくなってきます。そこでホンダは骨格そのものを見直し、各構成部の強度を高度に達成。さらにコンピュータによる解析も駆使することで、重量アップを抑え、適切な居住スペースも確保したボディ骨格レイアウトを実現。ミッドシップオープン専用の高剛性モノコックボディを開発しました。

ミッドシップ・フルオープンモノコックボディ
ミッドシップ・フルオープンモノコックボディ

高剛性フロアトンネル&サイドシル断面
高剛性フロアトンネル&サイドシル断面
ピラー断面
ピラー断面
徹底的に高めた曲げ剛性・ねじり剛性。
走りのポテンシャルを最大限に引き出すためには、曲げとねじりに対する強度を高いレベルで達成しなければなりません。ところがオープンボディの場合、ルーフがないことから、これらの剛性を上げるのがきわめて困難となってきます。そこでBEATは、フロアトンネルとサイドシルの剛性を徹底的に高めることでこれを解消。フロアトンネルは下部を閉じたボックス断面を採用、サイドシルも厚板化したうえで、ボックス断面のリインフォースメントを挿入した二重構造とし、しかも前後に延長しました。とくにリアはホイールアーチまで延ばしています。これらにより小型オープンボディと同等以上の曲げ剛性・ねじり剛性を獲得。またフロントピラーは、板厚と断面積をたっぷりとり、根元にスティフナーを配することにより、横揺れや不快な振動を極力少なくしています。

効果的に使用した補強材。
BEATは主要部分の板厚アップと、入力のある部分には効果的に補強部材を入れるという手法を組み合わせた骨格レイアウトを採用しています。具体的にはフロントのダッシュボードロアやリアのダンパーベース間などにクロスメンバーを配置し、さらにピラーtoピラー・ステアリングハンガーパイプも採用。しかもフレーム前後の結合部分のラップ量をたっぷりととりました。これらにより、適切な居住空間を確保しながら、M・Rをコンパクトなボディサイズの中に成立させた高剛性ボディを実現しています。
補強材

優れた遮音・断熱効果。
シートのすぐ後ろにエンジンをレイアウトしているM・R方式では、エンジンが発する音や振動、そして熱を室内に伝えないことも重要な課題です。そこで幌の収納スペースの下に防音材を使用し、さらにセンターバルクヘッドを二重壁にするなど、遮音・断熱に配慮しています。

すみずみまで施した防錆処理。
ロングライフボディ実現のために、高い防錆能力を発揮するカチオン電着塗装の採用はもちろん、ボディ断面のすみずみにまで電着塗装が行なえるよう構造的にも工夫をこらし、防錆ワックスも十分に塗布しました。美しい外観と優れた耐久性を維持します。

ガタつきを最小限に抑えたサイドウインドウ。
BEATは、オープンクルージングの爽快感をいちだんと向上させるため、フロントクォーターウインドウを持たないドア形状としています。そこでサイドウインドウを閉めた状態でのシール性の向上、不快な振動を防止するため、ガラスのブレを抑えるスタビライザー(ガラス押さえ)を設置し、ウインドウガラスガイドローラーにはゴムブッシュを採用しました。ガイドレールの接合部に発生しやすいガタつきを少なくしています。また、シンプルな構造で軽量化を図っています。
ドア断面
ドア断面



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