BEAT - 1991.05

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TECHNICAL NOTES

CHASSIS
M・Rの運動性能を支えるフロント・ストラット、リア・デュアルリンクストラットサスペンション。
軽快な走りを支えるサスペンションは、フロントにはストラット、リアには新設計のデュアルリンクストラットを搭載。減衰力の高いダンパー、かためのスプリングを採用し、ダンパーマウントのバネレートもアップしました。その上で、ジオメトリーを巧みに設定するなど、M・Rの優れた運動性能が最大限に発揮できるように、徹底したチューニングを実施。前後ともシンプルなサスペンション形式ながら、高次元のポテンシャルを獲得しました。また、サスペンションのジオメトリーを最適化した後に、ボディの骨格構造およびレイアウトを決定していくという手法を採ったことにより、リンク配置への干渉を受けることなく、取付け部の剛性も充分に確保するなど、ボディとのマッチングもきわめて高いシステムとしています。
〈フロント・ストラットサスペンション〉
ハイキャスター、ショートトレールの採用によって優れた直進安定性を発揮するとともに、リニアでしっかり感のある操舵フィーリングを獲得しました。また、転舵応答性を向上させながら、高いスタビリティも保持するため、ネガティブスクラブに設定。ステアリングギヤボックスもハイレシオとし、軽快な転舵回頭性を実現しています。一方、ステアリング操作に対するキビキビとした応答性や、リニアリティのある操舵フィーリングを得るには、ロアアームの高い取付け剛性が必要とされますが、この剛性についても、左右の取付け点を結ぶロアアームロッドを採用し、高水準を確保。ドライバーの操作とクルマの動きに強い一体感を生むサスペンション・セッティングとしています。
〈リア・デュアルリンクストラットサスペンション〉
ストラット形式をベースとしながら、ロアアームとラジアスアームを分離し、ロアアームの後ろ上部に若干長めのコントロールアームをほぼ平行にレイアウトしました。このリンク配置により、サイドフォース、ブレーキフォース、駆動力の変化に対し、タイヤはつねに安定方向の弱インとなるように設定。トー変化を最適化してコーナリング時にも高い安定性を得ながら、リバウンドストロークを延長して、ロードホールディングの向上も図りました。また、バンプ時にはタイヤを後方へスムーズに逃がすメカニカルコンプライアンスを持たせ、乗り心地を向上。M・Rレイアウトにマッチした、優れた動的安定性を発揮するサスペンションシステムです。
フロント・ストラット、リア・デュアルリンクストラットサスペンション

前後異径タイヤ
前後異径タイヤ
直進安定性、旋回性能を向上した前後異径タイヤ。
M・R方式のもたらす高い運動性能を活かしきるため、フロントは13×4 1/2Jホイールと155/65R13 73Hタイヤ、リアは14×5Jホイールと165/60R14 74Hタイヤの組み合わせによる前後異径タイヤを採用。コンパウンド、構造をふくむ徹底したチューニングを行ないました。前後重量配分、前後タイヤにかかるコーナリングパワーおよび横剛性のバランスを考慮し、フロントに比べてリアのグリップ性能を高く設定したことで、直進安定性、コーナリング性能の向上を果しています。

フロント・ディスクブレーキ リア・ディスクブレーキ
減速G1.0+α。最高水準の制動性能を発揮する4輪ディスクブレーキシステム。
M・Rレイアウト、低重心によって制動時の前後荷重変化が小さく抑えられることから、ブレーキ力は、効率よく発揮されます。フロント12インチ、リア13インチの、軽自動車初の4輪ディスクブレーキの採用ともあいまって、減速G1.0+αというトップレベルの制動性能を達成。余裕の走りをもたらすハイポテンシャルなブレーキシステムです。また、ブレーキペダルレシオを低くとり、マスターパワーの仕様を最適化したことにより、高剛性でリニアリティの高いブレーキフィーリングを得ています。

4点式エンジンマウントシステム
4点式エンジンマウントシステム
キビキビした操縦性さらに際立たせる4点式エンジンマウント。
リア・エンジンマウント、ミッションマウント、サイドマウントの3点支持に、トルクロッドを加えた4点式エンジンマウントシステムを採用。優れた操縦性をいっそう際立たせるために、エンジンとボディの一体感を残しながら、加減速時のトルク変動による車体の挙動変化は極力抑える設定としました。



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