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ACCORD/ACCORD TOURER
Accord / Accord Tourer 2008.12.4
DYNAMICS ボディ
走りの質、空間の質を引き上げる、鍛え抜いた全性能の基礎。
さまざまな性能を高次元で支える、軽量・高剛性ボディ。
クルマのさまざまな性能を支えるボディは、曲げ剛性やねじり剛性といった静剛性に加え、動剛性も徹底して高めました。ルーフクロスメンバーとピラーの連続閉断面構造や、フロントフロアのインナーフレーム構造を採用するなど、極めて強固な骨格構造を形成。また、軽量で強度の高いハイテン材(高張力鋼板)はより高強度な材料の適用を拡大したほか、結合効率の向上や、大断面化による部材の薄肉化などによって効率よく強度を確保しました。軽快で安心感のある走りはもちろん、燃費性能や静粛性、衝突安全性能などのすべてを高次元で実現する、精度の高いボディを完成しています。
フロントまわりの高剛性化。
ロアメンバーを追加し、メインフレームとの結合を強化するとともに、左右のダンパー取り付け部を結合するストラットタワーバーを追加。さらに、フロントバルクヘッドに「ハ」の字状に補強部材を配置するなど、フロント左右剛性を約35%向上。応答性に優れたハンドリングを実現しています。
数値は従来モデル比 Honda測定値
■ボディ高剛性化説明図
ボディ高剛性化説明図
リアまわりの高剛性化。
[アコード] Accord
リアシート後方のリアバルクヘッドに、閉断面部材を環状に配置する構造を採用。剛性を大幅に高めるとともに、トランクスルー時の開口を拡大し、使い勝手も向上しています。さらに、リアピラーの閉断面構造を延長し、リアパネルとスムーズに結合したほか、リアインサイドメンバーを追加。この結果、リア上下剛性を20%向上し、接地感の高い安定した走りとフラットな乗り心地を実現しました。また、リアフレームには大断面かつ閉断面の構造を採用し、動剛性を向上するとともに、後面衝突に対する衝撃吸収性能を高めています。
数値は従来モデル比 Honda測定値
[アコードツアラー] Accord Tourer
テールゲート開口部に大断面の連続した閉断面構造を採用。また、ダンパー取り付け部に補強材を配置し、フロアのクロスメンバー、リアクォーターピラー、ルーフクロスメンバーが連続した閉断面構造を形成。これらにより、リア上下剛性を23%向上するとともに重量増を最小限に抑え、軽快かつ安定した走りと快適な乗り心地を実現しています。また、大断面かつ閉断面構造のリアフレームを採用し、動剛性と、後面からの衝撃吸収性能を高めています。
数値は従来モデル比 Honda測定値
ルーフまわりの高剛性化。
ルーフクロスメンバーを、従来モデルではルーフ側に取り付けていたのに対し、Newモデルではボディ側に配置。片側スポット溶接により、通常のスポット溶接の際に必要な作業穴を廃止するとともに、従来モデルではボルト結合だった部分においても溶接での結合を可能にしました。これにより、ルーフクロスメンバーとピラーとの結合効率を大幅に向上。強固な連続閉断面構造を実現しています。
[ルーフとピラーの連続閉断面構造を実現した、片側スポット溶接。]
アコードシリーズが求める高効率なボディ骨格を実現するために、アコードシリーズ専用の片側スポット溶接設備・工程を生産ラインに新たに導入しました。通常のスポット溶接では、接合する部材の両側から電極を押しあてます。そのため閉断面の部材を溶接する際には、部材の裏側に電極を通すための穴を開けるか、接合部を平らにつぶす必要がありました。片側スポット溶接では、閉断面部材の持つ剛性を最大限に活かした連続閉断面構造が可能となり、極めて高い結合効率が得られます。なお、片側スポット溶接は難易度の高い技術のため、電流量や加圧力などを緻密にコントロールできる最新の溶接設備を導入するとともに、溶接する各部材のプレス精度を向上したことで、今回、アコードシリーズでの適用を実現しています。  
■片側スポット溶接イメージ図
片側スポット溶接イメージ図
■ルーフ構造比較図(アコード)
〈Newモデル〉   〈従来モデル〉
ルーフ構造比較図(アコード)〈Newモデル〉 ルーフ構造比較図(アコード)〈従来モデル〉
ルーフクロスメンバーをボディ側に配置 ルーフクロスメンバーをルーフ側に配置
■ルーフ結合構造比較図(フロントピラー部)   ■ルーフ結合構造比較図(センターピラー部)
〈Newモデル〉 〈従来モデル〉 〈Newモデル〉 〈従来モデル〉
ルーフ結合構造比較図(フロントピラー部)〈Newモデル〉 ルーフ結合構造比較図(フロントピラー部)〈従来モデル〉 ルーフ結合構造比較図(センターピラー部)〈Newモデル〉 ルーフ結合構造比較図(センターピラー部)〈従来モデル〉
溶接作業穴を不要とし、かつ、高い結合効率が得られる場所にスポット溶接     スポット溶接により、結合効率を高めるとともに、ボルトが不要となるため軽量化にも貢献    
フロアまわりの高剛性化。
フロントフロアフレームを室内側に配置するインナーフレーム構造を採用。高い応力がかかる部分へ効率よく高強度部材を配置し、高剛性化と軽量化を高次元で両立。また、優れた衝突エネルギー吸収効率も実現しています。  
■フロアまわり高剛性化説明図
フロアまわり高剛性化説明図
フロアまわり高剛性化説明図
視界の向上と外観の力強い印象を両立した、フロントピラー構造。
フロントピラーの断面を、高い強度を確保しながらドライバーから細く見えるよう形状を工夫。室内側のフロントピラーガーニッシュとフロントドアサッシュを細くすることで、全体で18%のスリム化を実現し、コーナリング視界を大幅に向上させました。一方、車外側では、ドリップモールをボディ同色とすることで、従来モデル同等の太さを表現しています。また、薄型形状のデザインブレードワイパーを採用するとともに停止位置を下げるなど、すっきりとした前方視界を獲得したほか、ボンネットとフロントフェンダーをフロントコーナー部が把握しやすい形状にし、アコードはトランク後端部をはね上げた形状にすることでボディ感覚をつかみやすくしています。
数値は従来モデル比 Honda測定値
  視界の向上と外観の力強い印象を両立した、フロントピラー構造。
■フロントピラー断面比較図
フロントピラー断面比較図
 
フロントピラー断面比較図
数値は従来モデル比 Honda測定値
ボディ下面の整流効果にも優れたハイレベルな空力性能。
高速走行時の安定性や静粛性、燃費などさまざまな性能に関わる空力性能を追求しました。フロントフロアのインナーフレーム構造により実現したフラットなアンダーフロアに加え、ボディ下面へ効果的に空力パーツを配置。上下・左右方向になめらかな張りを持たせたキャビン形状や、各部のフラッシュサーフェス化などと合わせ、ハイレベルな空力性能を実現しています。  
■ボディ下面空力処理説明図(アコード)
ボディ下面空力処理説明図(アコード)
低慣性化も追求した、車両全体にわたる軽量化。
走行性能や燃費性能の向上に寄与する軽量化を車両全体にわたって追求。ボディ骨格では、より高強度なハイテン材(高張力鋼板)の適用を拡大したうえで、各部の構造を合理化して効率よく強度を確保しました。さらに、シャシー部品やエンジン部品などに積極的にアルミ材や樹脂を使用したほか、防音アンダーコートや室内の吸音材に軽量で高性能な材料を採用するなど、骨格や部材レベルで大幅な軽量化を実現しています。また、車体の重心から遠い部分を積極的に軽量化するとともにフューエルタンクなどの重量物を車体重心に近づけることで、さらなる運動性能向上に貢献しています。
ドライバーズカーとしての心地よさを追求した、ハイレベルな静粛性。
振動・騒音を発生源で低減したうえで、ボディやシャシー各部の剛性を徹底して高めるなど、エンジンノイズやロードノイズの原因となる振動の室内への伝達を効果的に抑制。さらに、室内に侵入するノイズの遮音・吸音処理を適所に施しました。その結果、静かさに加え、クルマの加速にリニアな心地よいエンジン音を楽しめる、ドライバーズカーにふさわしい静粛性を実現しています。
エンジンまわりの静粛性。
フローティング支持されたフロントサブフレームにエンジンマウントを取り付ける二重防振構造を採用。さらに、サイドマウントとトランスミッションアッパーマウントを慣性主軸付近に配置することで効果的にエンジン振動を吸収します。また、エアインテークなど吸気系の容量や形状を工夫し、エンジン回転にリニアな吸気音を実現しています。  
■エンジンマウント構造図
エンジンマウント構造図
シャシーまわりの静粛性。
サスペンション取り付け部を徹底的に強化したうえで、リアサブフレームをフローティング支持。フローティング・ラバーには、前後方向にコンプライアンス特性を、上下方向にロードノイズやショック音を低減する特性を持たせました。さらに、徹底したシミュレーション解析により、サスペンションからの振動入力を効果的に低減しています。  
■リアサブフレーム構造図
リアサブフレーム構造図
キャビンまわりの静粛性。
ルーフ、ピラー、フロアの結合部を強化するなどボディ剛性を高めることで、ボディパネルの共振を抑え、こもり音を低減。ピラー内発泡ウレタンは適用範囲を拡大し、遮音性を高めています。そのうえで、室内を囲むように軽量で高性能な吸音材を適所に配置。さらに、路面からのノイズをより効果的に防ぐために、下側を遮音層、上側を吸音層とした吸遮音カーペットを新たに採用し、静粛性向上と軽量化をより高次元で達成しています。
■ピラー内発泡ウレタン配置図(アコード)
ピラー内発泡ウレタン配置図(アコード)
 
■遮音・吸音材配置図(アコード)
遮音・吸音材配置図(アコード)
風切り音の低減。
ボンネット後端部やフロントピラー、ドアミラーを空力に優れた形状にするとともに、デザインブレードワイパーやフロントスポイラーを採用。風をスムーズに後方へ流すことで風切り音を大幅に低減しています。  
■風切り音低減説明図
風切り音低減説明図

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