ACCORD/ACCORD Euro-R/ACCORD WAGON FACT BOOK
ACCORD/ACCORD WAGON 2002.10.10


低回転域から高回転域まで小気味よく吹き上がる、高回転・高出力エンジン。
2.0L 自然吸気エンジンでありながら、220PSの高出力を8,000回転で発生。
6速マニュアルトランスミッションとの組み合わせにより全域で力強い加速フィールを実現しました。
しかも、高回転エンジンでありながら二次バランサーを採用しフリクションの低減にもこだわるなど、圧倒的なパフォーマンスとともに静粛性・快適性といった上質さも備えています。


ハイパワーだけでは、新世代Euro-Rのバッジは付けられない。
よどみなく吹けあがるパワフル感はもちろんですが、Type-Rと違い、Euro-Rの名にふさわしいエンジンに仕上げるためには、上質なフィーリングも注ぎ込まれていなければなりません。そのひとつが、8,000rpmを超える高回転エンジンに、あえて二次バランサーをつけるという課題でした。
エンジンの2倍速で回転するバランサーと、同軸駆動の低フリクション小型オイルポンプを含め、16,000rpmを超える回転数でバランサーシステムを成立させる必要がありました。オイルポンプ回転数は乗用車のエンジンでは世界最高レベルです。
開発はトライ&エラーの連続でしたが、最終的には、動力性能・心地よいフィーリング・環境性能をも高次元でまとめ上げることができました。
最も注ぎ込まれたのは、開発者ひとりひとりの情熱かもしれません。ぜひ、ひと味ちがったアコードのハイパワーを体感していただきたいと思います。


Euro-R専用2.0L DOHC i-VTEC
エンジン性能曲線図
Euro-R専用2.0L DOHC i-VTECエンジン主要技術
[高出力化]
排気側にもVTEC機構を採用し、バルブタイミング・リフトを高回転・高出力型に設定。
11.5の高圧縮比設定。
単管等長ショートインテークマニホールドを採用して吸気抵抗を低減し、高回転域の吸気慣性効果を向上。
細粒砂型による高精度鋳造によって、吸気専用ポート形式で抵抗を低減。
インテークポートのバルブシート部を専用カッターで加工し、吸気抵抗を低減。
アルミ材中のシリコン量を増やして熱間強度を高めた、非対称ピストンフォーム。
F1と同じ高負荷メタル、高強度材採用の高回転対応コンロッド。
高強度材を採用してピン径を拡大した、高剛性クランクシャフト。
ツインサイレンサーの採用により排気抵抗低減。
[静粛性対策]
エンジンの二次振動を低減する二次バランサーを採用。8,000回転に対応し、高出力を実現しながらエンジンの振動・騒音を低減。
サイレンサーの振動・振れ回りを抑えるために、ツインサイレンサー双方とも、2ヶ所をボディ同一点で支持するデルタマウントにより、左右の変位を約50%低減(従来モデル比)。
エキゾーストマニホールドとエキゾーストパイプとのジョイント部では、球面ジョイントと短いフレキシブルチューブを併用し、効果的に振動を吸収。
[クリーン化]
ステンレス製デュアルエキゾーストマニホールドで排気抵抗を低減し、排出ガスのクリーン化に寄与。


162kW[220PS]/8,000rpmのハイポテンシャルを余すところなく引き出すために、専用のクロスレシオ設定を施し、軽量フライホイールを採用。
さらにトルク感応型ヘリカルLSDを搭載するなど、ハイレスポンスな走りを実現しています。そのうえでシフトフィーリングに徹底的にこだわり、全段にマルチコーンシンクロを採用するなど、シャープで力強い走りと操る歓びを体感できる6速トランスミッションを完成しました。


6速マニュアルのシフトフィールを、思う存分楽しんでください。
220PSのハイパワーをフルに活かしきる。しかし、目標はそれだけではありませんでした。操る楽しさを実感していただくためには、軽快なシフトフィールがとても重要です。
そのために、全段マルチコーンシンクロを採用し、クラッチディスクの慣性マスを低減させることで、シフト操作荷重を低減させました。
しかも、クラッチの開発では、軽量化を行いつつ、8,000rpm以上という高回転での強度と信頼性を確保しながら、ミッションのNVH性能も高める、といった力強さと上質感の高次元での両立に徹底的にこだわりました。また操作系については、従来モデルEuro-Rの5速から6速に進化させるにあたって、特にシフトノブ位置とストロークの関係を充分に考慮し、シフトおよびセレクトのストローク量、シフトノブの位置や軌跡などを操作性の観点や人間工学的な観点から議論・検証を繰り返し決定しました。その結果、Euro-Rにふさわしい節度感のある、かつ軽快なシフトフィールが実現できたと思います。


操作性と操作感にこだわったシフト、クラッチ設定。
1〜2速をトリプルコーン、3〜6速をダブルコーンの全段マルチコーンシンクロを採用し、シフト荷重を30%低減。ストロークも50mmに短縮するとともにシフトノブの配置をドライバーに近づけるなど、軽快なシフト操作と心地よい操作フィールを実現しました。また、クラッチペダルストロークを最適化し、機敏なクラッチ操作も可能にしています。


5速MTよりも軽量・コンパクトな6速MTを実現。
軽快な吹き上がり特性を得るために、約20%の重量減を実現した軽量フライホイールの採用をはじめ、ギア、シンクロメッシュ機構、ベアリング、クラッチディスクなどの薄型設計などにより、従来モデルEuro-R用の5速MTよりも軽量・コンパクトな6速MTを実現。また回転パーツの軽量化により慣性マスを低減し、軽快なレスポンスも獲得しています。


162kW[220PS]/8,000rpmを存分に楽しめるレシオ設定。
VTECの切り替え回転数に合わせ、高出力・高回転を楽しめる専用クロスレシオとしました。トルクバンドを有効に活かしたシフトアップが可能となり、伸びのあるリニアな加速を楽しめます。
車速線図


スプリング、スタビライザー、およびブッシュ類をハードな設定とするとともにダンパーの減衰力特性も見なおすことで快適な乗り心地を犠牲にすることなく走行安定性の向上を達成。同時に、左右連結ストラットタワーバーをフロントに採用し、より俊敏なステアリングレスポンスも獲得。また、タイヤは215/45R17 87Wの偏平ワイドタイヤとすることで、傑出した操縦性と走行安定性をいちだんと高い領域へとレベルアップ。

ブレーキには、高剛性キャリパー+16インチ大径ベンチレーテッドディスクをフロントに採用し、低G〜高G領域におけるリニアで剛性のあるブレーキフィーリングを実現。

機械式で作動レスポンスに優れたトルク感応型ヘリカルLSD(リミテッドスリップデフ)を採用。アンダーステアの少ないコーナリングと、シャープな立ち上がり加速を実現。



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