ACCORD/VIGOR(MECHANISM)
- 1985.06
リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンション
フロント・サスペンションが高性能になるほど、リアの重要性も高まります。
すなわち、リア・サスは、フロント・サスと異なり、人間の意志でコントロールできず、
走行中にひき起こされるさまざまな現象を、その時の条件に応じて自ら制御しなければなりません。
しかも、重心位置が比較的前よりにあるFF車、とりわけ後席に乗車する機会が多く、
トランクルームも大容量のセダンでは、リア・サスにかかる荷重は大きく変化します。
フロント・サスペンションの性能を充分に発揮させるためには、
リア・サスペンションはつねにがっしりと大地をホールドしている必要があります。
そして荷重変化に対応して、つねに快適な乗り心地を得る必要があります。
その意味で、リア・サスはフロント・サス以上の性能と快適性を実現しながら、
セダンとして欠かすことのできないスペースユーティリティを確保することが条件でした。
そのためのフリクション極少レイアウトと各コンプライアンス機能の充実、
およびそれによって引き起こされるフォースステアへの配慮。そしてリア・サスがいかなる状態においても、
充分そのタイヤの持つポテンシャルを引き出せるよう、あらゆる変化特性を考慮したうえで、
確かな安定感を発揮できる自由度の高いジオメトリーが可能なこと、こうした基本要件を満たしたうえで、
柔軟な足まわりでありながら、車の姿勢をくずすことなく、
つねに安定した状態が保てるよう制動時のテールリフトを抑えるアンチリフト・ジオメトリー。
さらには、60Lの燃料タンク容量と大容量トランクスペースを成立させるための新リンク配置を考える必要がありました。
新型アコード/ビガーの新世代リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンションは、
2本の不等長ロアアームと1本のアッパーアーム、そしてナックルに結合されたトレーリングアームという、
ユニークなレイアウトをもっています。リンクで力学的に支持され、
ナックルにスプリング&ダンパーを結合したこのサスペンションは、
基本的にダンパーに曲げ力が加わらない低フリクション設計のおかげで、
プログレッシブ・コイルスプリングの採用とあいまって、
様々な走行および荷重変動(軽積から定積まで)の幅広い条件の中で、極めて良い乗り心地を生み出すことができます。
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