野菜は人にとって健康維持に欠かせない食べ物です。しかし、ドッグフードで必要な栄養を摂取している犬にとっては、必ずしも毎日必要な食べ物ではありません。そこでまずは最初に、犬にとって野菜を食べるメリットとデメリットについて解説します。
野菜に多く含まれているビタミンやミネラルは犬の体の機能を健康に保ち、食物繊維は腸内環境を整えて便秘解消などに役に立ちます。また、太り気味の犬であれば、ドッグフードの量を減らし、低カロリーの野菜を加えることでダイエット効果が期待できます。ほかにも水分量の多い野菜を摂取することで、脱水予防や熱中症対策にもなります。
犬は繊維質の多い野菜の消化が苦手です。そのため、野菜を適量以上与えると消化不良や下痢、嘔吐などの体調不良を引き起こす可能性があります。また、糖質を多く含むサツマイモやかぼちゃなどを与えすぎると肥満になったり、犬によっては特定の野菜でアレルギー反応を引き起こしたりすることもあります。
犬が食べても良い野菜は数多くあります。ここではその中でも犬用メニューを提供する飲食店でも使われ、健康面においてもおすすめの野菜をご紹介します。
犬が食べられる根菜類には、にんじん、大根、カブなどがあります。
キャベツ、レタスなどの葉茎菜類も犬に与えて良い野菜です。
果菜類にもきゅうりやトマトなど、犬が食べられる野菜があります。
ほかにも、とうもろこしは犬に与えても大丈夫です。ただし、必ず茹でてから与えるなど、与え方に注意が必要です。詳しくは「犬はとうもろこしを食べても大丈夫?量や与え方に注意!」をご覧ください。
野菜の中には犬が食べると中毒を起こすものがあります。わずかな量でも食べたり、なめたりしないように気を付けましょう。
長ねぎや玉ねぎなどのねぎ類・にら・にんにくは与えると下痢や貧血、嘔吐などの中毒症状が出て、最悪の場合、死に至るため与えてはいけません。これらの食材は香りづけとしても料理に取り入れられることがあります。少量でも危険な野菜ですので、与える際にはこれらの野菜が混ざっていないか必ず確認しましょう。
アボカドに含まれているペルシンは犬にとって有害な成分で、嘔吐や下痢を引き起こします。また、アボカドのカロリーは高く、種はのどを詰まらせる恐れがあるため与えないようにしましょう。
ぎんなんに含まれるギンコトキシンは犬にとって有害です。与えると嘔吐や下痢、めまい、けいれん、呼吸困難などの中毒症状が出ます。散歩中も落ちているぎんなんを口にしないように注意が必要です。
わさび・唐辛子・山椒は刺激が強いため、嘔吐、下痢、胃のけいれんなどを引き起こす可能性があるので避けましょう。
とろろ芋は、粘り気がありシュウ酸カルシウムが含まれています。この成分の結晶がかゆみやかぶれの原因になるため、与えないようにしましょう。長いもは生食や加熱調理をして与えることができますが、とろろ芋と同じくシュウ酸カルシウムが含まれているため注意が必要です。かぶれの原因にもなるため、初めて与える際には少量を与え様子を見ましょう。
同じいもでも、サツマイモは与えることができます。ただし、与え方には注意が必要です。詳しくは「犬はサツマイモを食べても平気なの?おいしいけれど、ちょっと注意!」をご覧ください。
犬が食べても良い野菜を紹介しましたが、どんな野菜も誤嚥(ごえん)を起さないように細かく刻み、味付けはしないようにしましょう。調味料の中には犬にとって危険な玉ねぎが含まれていることもあり、野菜を茹でる際も塩を加える必要はありません。また、野菜の多くに含まれている食物繊維は、薬の効き目を弱くすることがあるため、愛犬に薬が処方されている場合には注意が必要です。そして与えすぎにも注意し、初めて食べさせる野菜は少量にして、体調に変化がないか必ず確認しましょう。
愛犬がキッチンなどに置いてあった野菜をかじってしまった!しかも犬が食べてはいけない野菜を食べてしまった場合、体に異変が起きていなくてもすぐに動物病院に連絡してください。その際、愛犬が「何を、いつ、どのくらい食べたか」を確認し、病院に伝えて指示に従いましょう。
人にとってはおいしい野菜も犬にとっては有害な場合があります。本記事でご紹介をした犬が食べられる野菜であっても、個体差や体質などの問題により症状が出ることもありますので、動物病院に相談してから与えると安心でしょう。
ヤマザキ動物看護大学 助教
[修士(獣医保健看護学)・ペット栄養管理士・CRT]
/動物臨床栄養学研究室
修士(獣医保健看護学)を取得後、ヤマザキ動物看護大学にて動物看護学の臨床的な実習を中心に担当をする。動物臨床栄養学の教育・研究では、犬の手作り食レシピの作成や犬・猫の肥満の改善をテーマに行っている。
※このコンテンツは、2023年1月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。