2020年1月発表 2022年3月終了モデル
この情報は2022年3月現在のものです。
2020年1月発表 2022年3月終了モデル
この情報は2022年3月現在のものです。
走らせることがとにかく楽しくて、乗ると誰もが笑顔になる。
そんなクルマをお届けしたいという一心でつくり上げたS660がこのたび生産を終了します。
残念ながらひとつピリオドを打つこととなりますが、Hondaはこれからも
クルマの走りの楽しさを追求し、チャレンジを続けて参ります。
初代開発責任者 椋本 陵
S660の開発チームの中で「一線入魂」という言葉があります。これは設計図に引くひとつ一つの線に妥協なく意思を入れるという意味で、ボディーの設計者から生まれた言葉でした。やがて「一線入魂」の考えは「クルマに魂を込める」という意味合いとなり、S660の開発全体に波及していったと思っています。
開発中、ある設計者が「セレクト/リセットスイッチの押し心地を改善したい」と試作品をつくって提案をしてくれました。メーターに付いている小さいスイッチのことです。試作品の感触は明確に良くなった！と胸を張って言いたかったのですが、実際に比べてみた感触は、「良いような気がする・・・」という感触だったと記憶しています（笑）。「一線入魂」で細部までこだわってもらえたのが嬉しく、印象に残っていたので紹介させていただきました。
この小さなスイッチの押し心地を改善しても、エンジンやサスペンションのように走行性能を向上させたり、カタログで訴求されることはないかもしれませんが、小さなこだわりの積み重ねがS660の魅力につながったと信じています。
スイッチの提案をしてきた設計者（左端）と試作品の押し心地を確認した時の写真です。「比べたら良い気がする・・」という微妙な表情に見えます（笑）
チームを支えるベテランエンジニアは、常々「よいクルマをつくるには、よい開発チームが必要」と言っていました。
そのために、誰もが気軽に立ち寄れるチーム専用の部屋、通称「部室」をつくりました。別々の場所で働く設計者たちが「部室」に集まり、専門領域の垣根を越えてコミュニケーションをとるうちに、開発に携わる誰もがS660をもっとよいクルマにしたいという「一線入魂」の気持ちで取り組む一体感が出てきたのを感じました。その時にベテランエンジニアの言葉を身をもって理解できたのが、S660の開発を通じて得たことです。
S660開発チームの「部室」 。よいチームづくりに大きく貢献してくれました
ツーリング中のもぐもぐタイムです
開発メンバーとS660で福島にツーリングに出かけた際、自分たちのS660が連なって走っている姿を見た子どもたちや、畑にいたおばあちゃんたちが笑顔で手を振ってくれたのがほほえましかったです。
そういえば、S660発売直後に訪れた新潟で、通りすがりの中学生がS660を熱心に見ていたので運転席に座らせてあげたこともありました。
ツーリング中のもぐもぐタイムです
2015年の発売当時に作られたS660のプレスインフォメーション（メディア向け資料）の1ページ目に、「世界一笑顔の似合うスポーツカー」と書いてあります。乗る人だけでなく、周りまで笑顔にすることのできるクルマになれたことが、何よりも嬉しかったことです。
S660のプレスインフォメーション（2015年）の1ページめにある言葉
S660のあとに開発を担当したシティ ハッチバック
現在私は、研究所のデザイン部門でパッケージ領域を通じてクルマの開発に携わっています。Hondaのパッケージは、「コンセプトを形にする」という意味合いとして使われていて、スタイリングや室内空間に影響する「骨格」や、「荷室の使い勝手」などを、それぞれのクルマのコンセプトを基に形作っていきます。
S660のあとに開発を担当したシティ ハッチバック
S660の開発後は、タイなどで販売している「シティ ハッチバック」のパッケージを担当しました。スポーティーなルックスと、使い勝手がよく広々とした室内空間が特徴のクルマです。ちなみにこのシティというクルマは、S660で開発責任者代行だった安積が開発責任者を務め、私以外にもS660開発メンバーの数名が開発に携わりました。
S660の開発に携わった者は、現在様々な領域で仕事をしています。S660で得た経験を活かし、次はどんな魅力的な製品が出てくるのかとても楽しみです。
S660のプレスインフォメーション（2015年）の4ページめ。開発者もみんな笑顔です
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※本ページには、現在販売終了しているタイプ・カラーも掲載されております。
