2003年10月発表 2005年10月終了モデル
この情報は2005年10月現在のものです。

  S2000  
メカニズム(パワーユニット)
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レブリミット9,000rpm。この数字こそがS2000のパワー特性を物語る。
アイドリング状態から最高出力を発生する8,300rpmまで、ストレスなく伸びていくそのエンジンフィールは、爽快そのもの。踏力次第では、一気に上りつめる高揚感が味わえ、ドライビング局面にあわせた微妙なスロットルコントロールも堪能できる。
自然給気と高回転化が醸す、まさにリアルスポーツならではのパワー特性だ。
レブカウンターの端から端まで、インジケーターがめまぐるしく動き回る。
そのスピード感もまた、Fun to driveのひとつに違いない。
  エンジン性能曲線図(S200)
     
S2000のパワーユニットは、2.0L直列4気筒DOHC VTEC。
それは専用設計のVTECを基軸にしたHondaのエンジンテクノロジーから生まれた。
市販車としては異例の11.7という高圧縮比が示すように、そこから絞り出される最高出力184kW[250PS]/8,300rpm*。
リッターあたり92kW[125PS]というハイレベルの数値は、徹底的に高回転を追求した結果といえる。
もちろん、基本的な性格はあくまでVTECにある。
ハイスピードクルージングでも、シティドライブでも、全ての回転域でトルクを細らせない、VTECならではのパワー特性が、このエンジンにも受け継がれている。
たとえば、サーキットが舞台なら、ピークパワーを駆使したダイナミックな加速や、どこから踏んでもレスポンスよく吹け上がるエンジンフィールを堪能する。
そして、トルクまかせのスロットルワークでクールダウンする。
そんな愉しみもまた、S2000固有の世界といえるだろう。
どこを走っていても、どんな走りをしていても、スポーツカーらしさを実感させる。
リアルスポーツに欠かせない必須要件を、S2000はVTECエンジンによって満たしている。

*はネット値

どこまでもリニアに高まっていくパワー感をめざして。
このエンジンにはさまざまな技術が投入されている。
ひとつは、ローラー同軸VTEC構造。カムとの接触部分をローラー化したロッカーアームの採用により、動弁系のフリクションを大幅に低減。また、ローラー内部はVTEC切り替えピンを内蔵した一体構造にコンパクト化することで慣性重量を減らし、高回転化に対応している。
さらには、ピストン部の減量があげられる。軽量&高強度を誇る、Honda四輪市販車初のアルミ鍛造ピストンは、コンロッド小端部をテーパー化し、慣性質量を低減。
また、コンロッドにおいても浸炭処理によって強度を高め、各部の厚みを減らして極限まで慣性質量の低減を図っている。

エンジンの小型軽量化としては、静粛性にすぐれた独自開発のサイレントチェーンを採用。
タイミングベルト用プーリーより薄いスプロケットを介してカムギアを駆動することによりエンジン前後長を短縮した。ウォーターポンプ、オルタネーター、コンプレッサーを一本のベルトで駆動するサーペンタイン補機駆動システムも同様の役割りを果たしている。
排気系も怠りない。4-2-1のステンレス製大口径エキゾーストマニホールドと高効率ツインサイレンサーを採用。背圧を少なく抑えることによりパワーロスを防ぐとともに、リアルスポーツならではの官能的なエキゾーストノートと低騒音を両立させている。
アクセルペダルに、踏力と加速との一体感を醸成するファインチューニングが施されていることも付け加えたい。
専用設計DOHC VTEC

アルミ鍛造ピストン&浸炭コンロッド

カムチェーン駆動システム
パワーを伝達する役割を担う駆動系の剛性は、加減速におけるリニアリティに関わる。
さらには、その動的質感の善し悪しが、リアルスポーツとしてのテイストさえ左右してくる。
S2000は、1ピースプロペラシャフト、大径ドライブシャフト、ワイドスパンに配置したデフマウントにより、人車一体のダイレクトな加速レスポンスを実現している。
また、デファレンシャルには、駆動力を無駄なく路面に伝え、コーナリング時のコントロール性を高めるトルセンLSD(リミテッドスリップデフ)を採用。
 
S2000の駆動系のもつ高い剛性は、当然ながら高回転化に対応するためである。
デファレンシャルケースにおいては、材質はダクタイル鋳鉄を採用。
それにより高いケース剛性、強度を獲得。大きなストレスのかかる走りをクリアしている。
また、クラッチは回転強度の高い基盤材に摩擦材を張り付け、高回転化に対応。
ケースを高剛性のものとすることにより、駆動系の振動や騒音の低減に寄与している。
6速マニュアルトランスミッション
 
シンクロシステム
トランスミッションは、シフトユニットをトランスミッションケースに直付けするダイレクトチェンジ形式とし、高回転・高出力型エンジンの性能をあますところなく引き出すために、剛性感あるシフトフィールをもつ6速マニュアルを採用している。ギア比は、シフトアップした際、高速バルブタイミングでの高トルク領域において連続的につながっていくクロスレシオに設定している。
また、シンクロシステムは、1・2速はダブルタイプ、3・4・5・6速にはシングルタイプのカーボンシンクロナイザーを採用。
ハードなシフトチェンジに耐えるシンクロ容量と高い耐摩耗性を確保し、シフト時のフリクションを低く抑えている。
それらはIOR(Independent Output Reduction gear train:独立出力側減速機構)などと相まって、シフトレバーをゲートに叩き込む手首の動きを軽やかに、そして確実にする。
各イラストはイメージ図

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