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前のページでも触れましたが、テスト車の段階では、実にさまざまなセッティングを行いました。技術的には、左右の車輪にかかるトルク配分を極端な値に設定することも可能なのです。しかし、それではかえってドライバーに負担がかかってしまうので、これをいかに自然な方向にもっていくかが、ずっと課題でした。 ダブルジョイントタイプのサスペンションを専用開発したのも、そうした自然な操舵感を得るための選択でした。左右のトルクが変化したときに、ドライバーの意思を越えたトルクステアが出てしまうと、かえって危険なことになります。ダブルジョイントタイプのサスペンションであれば、それが解消できるわけです(ちょっと難しいですか?)。 実際、今プレリュードに乗っているドライバーの方からは、ATTSが自然すぎるのか、「あまり効いている感じがしないね」と言った意見も聞かれます。本当はその方が、私達としては狙いどおりなのでうれしいのですが。そこで、今回のモデルでは若干(5%)ですが、ある状況下でトルク配分を上げるようプログラムを変更しています。安全な領域で、さらにATTSの効果を体感できると思います。 また、アクティブコントロールABSは、ATTSの開発途上で、必然性をもって生まれました。ATTSに盛り込んだ横Gセンサー、ヨーレイトセンサーを生かすことで、コーナリング時のブレーキング性能を向上させることが可能になったのです。 |
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![]() ATTSユニットの カットモデル |
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ATTSによって、FF車のコーナリング性能はまだまだ向上できるということが、実証されました。技術者としてホンネを言うなら、このシステム、もっと他の車種にも搭載したいところなんです。近い将来それを実現させることが、技術者としての次なる夢と言えますね。 |
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