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ATTS開発担当:泊 辰弘

え?そんな前からできていたの?と、怒られそうですね。でも別のプロジェクトで92年のモーターショーで一度、世の中には紹介している技術なのです。それは「SH4(スーパーハンドリング4WD)」というネーミングで、理想的なニュートラルステアを実現できるものでした。当時来場された方は、記憶していらっしゃるでのはありませんか?
まあ、この技術については、駆動するユニットの重量や製造コストの問題などもあり、製品化はされなかったのです。が、そのときに傾けたニュートラルステアへの夢は、いつか現実にしてやろうと狙っていたわけです。
「SH4」は後輪までもコントロールするのですが、ATTSはご存知のとおり、前輪に対してトルク配分を制御します。でも結果的には、それだけでもFF車のクセであるコーナリング時のアンダーステアが解消され、十分な運動性能が得られるようになったのです。開発した技術者としても、ずっと「イケル」技術だと信じていたので、まさに夢が実現した感じです。


ATTS開発担当チーム

左:荒井康典
中:泊 辰弘
右:大熊信司


ATTSもテスト段階では、相当にいろいろなトライを重ねましたね。たとえば、トルク制御の効果がハッキリ体感できるようなプログラムを組んだりもしました。けれど、実際にさまざまなシチュエーションで走らせてみると、効きすぎるのはかえって不自然な感じがするんですね。そこで、何度もテストと試乗を繰り返し、徐々に自然な方向へとチューニングしていきました。最終的に現状のような、ドライバーの意思を優先したニュートラルなステアリングへと到達したわけです。

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