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東京モーターショーに展示されたプロトタイプ、NSX-Rが生産化されたら、実にグッドなニュースだと思う。ぜひそうあってほしい。どうやらHondaは我々ダイハード・スポーツカー・エンスージアストのために、10年以上も前から私が愛してやまないクルマであり、ニュルブルクリンク・サーキットにおいて私がテストした中でベスト・ハンドリング・カーであるNSXを、フルに近代化し、より速く、よりパワフルなバージョンに作り変えてくれたようだ。
私が最後にNSXをドライブしたのは2年前の秋、鈴鹿サーキットで開催されたNSXフィエスタに招待されたときだった。その時すでにデビューしてから10年近く経っていたにもかかわらず、私の乗った、新しく6段変速マニュアル・トランスミッションとトルク豊な3.2リッター・エンジンを得たNSXは、相も変わらず我々の心をときめかせてくれる、秀逸なスポーツカーであった。
NSXは、オール・アルミ・モノコック・ボディ・シェルに、オール・アルミ・サスペンション・コンポーネント、V6VTECエンジンが組み合わさった、真の意味で日本初のスーパーカーで、1990年に発表されるやそれまでのロード・カーの常識を完全に塗り替えた。そして単に、ハード・ウェアとして優れているだけではなく、スポーツカー・エンスージアストの求める味付けをされて仕上げられていた。そのNSXのスピリットは、S2000やつい先日ドイツで乗る機会をえた最新型のインテグラ・タイプRに見事に受け継がれている。世界有数のメーカーに成長したHondaにとって、いまや「リッターあたり100馬力」というエンジンをつくることは何でもないようだ。
東京モーターショーに出展されたプロトタイプNSX-Rは、カーボンファイバー・コンポーネントをふんだんに用いることによって、一層の車重軽減を可能にしたように見える。このことによってNSXは更なる進化を遂げ、速くてレスポンスの良いクルマをドライブすることを無情の喜びとする者に、軽快さと、動力性能と、ハンドリングの新たなるスタンダードを与えてくれるに違いない。 |
(モナコにてポール・フレール) |
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