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スロットルを踏んだときの反応の素晴らしさや実際に回転するその質感は、とても同じパワーユニットであるとは思えないほど研ぎ澄まされており、正直心が震える。そんな感触を味わいながらツインリンクもてぎ東コースの最終コーナーを立ち上がり、ダウンヒルストレートを下っていくと、研ぎ澄まされたサウンドを室内に満たしながら、アッという間に200km/hを越える。超高速域だがボディは路面に吸い付き安定している。 ブレーキング。減速感は非常に頼もしく、制動距離も短い。さらにボディが路面に吸い付く感じが増し、車体が左右に振られない。また、ABSの介入時にもブレーキペダルからは信頼感が全く失われない。 転舵。直進状態から既に、路面/タイヤ/車両状況はステアリングを通し手のひらに刻まれるが、操舵を始めるとさらに濃密になる。タイヤと路面が摩擦し、サスが動き、車体が傾く様子がビビッドに手のひらに伝わるのだ。その質感を堪能するのと同時に、もう一つ決定的なことに気付く。コーナリング速度が速く、身体にかかるGが明らかに違う、と。 旋回。先の吸い付く感じは失われないまま、ピタリと高い安定を見せる。一方で、舵の切り増し/戻しを受け付けるだけのキャパシティもある。コーナー進入時で既に姿勢変化は自在だが、旋回中でも意のままに修正できるだけの寛容性もあるのである。少しのきっかけで姿勢が変化しやすい130Rは、高いスキルを持たないボクにとって、4速に入れた後、踏み続けるか否か迷う場所だが、Rはそれをも許す。速度が乗るほどに吸い付くゆえ、安心感を生むからだ。NSX-Rプロトタイプで走った東コースでの5周は、まさに永遠に記憶に残る時間だ。 なぜなら、かつてない限りなき速さと限りなく高質な操縦性を存分に見せつけられたからである。他のモデルに対し、圧倒的な速さを実現しているにも関わらず、そこにあるのはリスクではなく、むしろ他のモデル以上に高い信頼感である。その信頼感は、全てがドライバーの身体に情報として伝えられるリアルなまでにリアルなもの。この感覚は一体感と呼ぶことを通り越し、まさにクルマと人間とが一体となり直結した感じだとさえ言える。今まで多くのスポーツカーでサーキットを走ったが、クルマと人との関係においてこれほどまでに濃厚で、凝縮感に溢れた時間を体験したのはもちろん初めてである。 全てのNSXオーナーが感じているこのクルマならではの走りにおける豊かな感触が、NSX-Rプロトタイプでは数十倍にも高まっていると言って差し支えないだろう。速いだけのクルマはいくらでもある。しかし、その速さが自身の操縦によって生まれていることを、ありのまま全てで伝えるクルマというのは非常に少ない。ボクはそれを感覚伝達性能と呼ぶが、NSX-Rプロトタイプの持つその性能は、現在ボクが知る中では当然一番のものとして輝いている。それは極めて研ぎ澄まされた機械なのに、鼓動しているようにさえ感じるほどのエモーショナルなビークルだったのだ。 |
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■プロフィール:河口まなぶ 日本大学芸術学部文芸学科卒業後、自動車専門誌でアルバイト 。その後フリーランスの自動車ジャーナリストとなり、自動車専門誌へ寄稿。 1997年に日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。専門誌への寄稿の他、プレイステーションソフト「グランツーリスモ」シリーズの解説を担当。 2002年、2002-2003日本カーオブザイヤー選考委員 。主な寄稿誌は、モーターマガジン、ホリデーオート、Tipo、J'sTipo、Cars-iなど。その他のメディアは、AUTOASCII、ALL ABOUT JAPAN<OPENCAR>(インターネット)/三軒茶屋モータリングクラブ(TV:2001年10月−2002年3月:TV東京他)など。 |
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