NSX press 2003 vol.29
土屋圭一イメージ写真1 世界一に乗りたいなら、こっちへおいで。
土屋圭一イメージ写真2 土屋圭一イメージ写真3
 
 
初代NSX、3.2リッターになったNSXタイプSのあと、プライベートカーとして
NSX-Rを購入したレーシングドライバー土屋圭市氏が、その理由を語る。
世界で一番いいスポーツカーに乗りたいという気持ちから、
僕はNSX-Rを買うことにした。これは本心。
仕事でポルシェやフェラーリといった世界の頂点のスポーツカーを
とことん走らせていてそのテイストは知り尽くしている。
一方で開発段階からインプレッションを行っていたNSX-Rも知り尽くしている。
それでたどりついた答えがNSX-R。
世界一のクルマと比較して、どうせお金出して買うんなら
このクルマしかないと。それが答えだった。
Hondaには申し訳ないけど、テスト=マイカー選びができた(笑)。
速いだけのスポーツカーなら、所有する価値はない。
NSX-Rには速さを楽しめる安心感がある。

スポーツカーというとスペックに注目しがちだけど、スペックのよさが走るよろこびに直結するとは限らない。一線級のスポーツカーなら、感動できるパフォーマンスはどのクルマも十分に備えている。要はそれを楽しめるかどうかが重要。
僕は、速いだけのスポーツカーなら欲しくはない。こだわりたいのは、そこに幅広い安心感があり、走らせることを楽しめるクルマであるかどうかということ。そういう意味でNSX-Rはダントツ。まさに世界の頂点に輝くスポーツカーと言っていい。正直、他のクルマは高い速度で不安になった。
初代のNSXは、スタイリングが気に入って手に入れた。それを自分なりにリファインして乗っていたんだ。それから初代のNSX-Rが出て、Hondaのリアルスポーツの走りは本物だと僕の中で判断できた。
次にエンジンが3.2リッターになったとき、NSXはまたいち段と良くなった。エンジントルクとボディ剛性、シャシー性能が絶妙にマッチしたと思う。それでタイプSを購入した。このNSXは、プロドライバーのレベルでも存分に走りを楽しめて、それでいて安心感も高い。街乗りでも十分に乗り心地がいい。こんなミッドシップはこれまでなかったと思って購入したんだ。
新しいタイプRは、乗り心地がどうだとか考える前に、圧倒的な走りの楽しさに心を奪われるスポーツカーだった。NSX-Rをはじめてテストで走らせたとき、「街なかも乗れるだろ」、「サーキットも速いし楽しいだろ。何も不満はないはずだ」とクルマ側から有無もいわさず訴えかけてきた。楽しくて、走り込むほどにどんどんのめり込んでいく。「これは買うしかない」と、NSX-Rをテストで走らせながらすでに心のなかで決めていた。
初代のタイプRは、あれでよかったと思う。ジャジャ馬的だったけど、「HondaのタイプRはこうなんだ」と強烈に訴えるものがあった。まさにサーキット専用チューン。尖りに尖ったスポーツカー。HondaのタイプRブランドを立ち上げるにふさわしいスポーツカーだった。
でも今の時代はそれだけじゃ済まなくなっている。実際、タイプRといえども街なかを走る割合の方が多いわけだからコンセプトの進化は当然のこと。街なかから違和感なく乗れる、でもサーキットに行くとすごい!という方向性に必然的に進化したと言える。その進化は実に大歓迎で、僕みたいなレーシングドライバーがさっそく飛びついてしまった。それほどNSX-Rは魅力的なスポーツカー。
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