伝説はこれからはじまる
10年という歳月は、NSXを世界に知らしめるに十分な時間であった。
いまやNSXは確固とした世界にいる。口角泡を飛ばさずとも、NSXといえば 新たな価値を拓いたスポーツカーであると誰もが賛辞を送る。
手を挙げれば、多くのオーナーが集い、熱狂のスポーツカー王国が出現する。
そこでは、誰もが鼻高々に誇り合うのではなく、一生懸命走り、笑い、心をほぐし合う。 一日にして成らず、10年の積み重ねあればこそだが、長いスポーツカーの歴史からしてみればまだ10年に過ぎない。NSXのいい雰囲気に満ちた伝説は、オーナーの熱意に支えられ、これから本章を綴るべくスタートを切るのだ。
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300台を超えた、10年目のNSX fiesta
やはり何か特別だった。参加するオーナーも、ゲストも、スタッフも胸の中で何かがそわそわとうごめく気分。不意に顔に浮かぶ笑顔。時代の節目とは不思議なもので、10年目のfiestaは予報を覆す晴天にも恵まれ、2000年11月18日(土)19日(日)に幸せいっぱいの気分でスタートした。

川本信彦相談役をはじめ、上原繁開発責任者、鈴木久雄プロジェクトメンバーの面々は、数えきれないほど集まったNSXを目にしてまさに感無量の笑顔。川本氏は、「思い切ってNSXをつくると決断して本当によかった」と、目をうるませた。これほど幸せそうな人の顔を見たのは何年ぶりだろうと思えるほど、川本氏の笑顔は深い喜びに包まれていた。

photo 10周年のfiestaでは、ピット前に巨大なテントが出現。ここをセンターステージに、参加者は豊富なプログラムを楽しまれた。

かつてフェラーリチームで、マンセル以上の自己顕示欲を示しチームと自らを勝利に導いた熱血のF1ドライバーであったゲストのクレイ・レガッツオーニ氏もとろけそうなほど柔和な笑顔でオーナーと戯れた。彼は、Do you have a HONDA?のテレビCMに出演できたことを「障害のある人々に勇気と元気を与えられる素晴らしい機会となった」と心から喜んでおり、10年目のfiestaの参加も光栄と快諾してくれたのだ。また、NSXオーナーにはおなじみのスイスHonda社長、クロード・サージさんもはじめてのもてぎをNSXで満喫。そして何よりも日本の誇りともいえるNSXオーナーの方々は、ドライビングメニューをそれぞれに楽しみながら、特別のお祝ムードに包まれたfiestaを全身で楽しまれていた。誰もが、10年という歳月の積み重ねを誇りに思っており、クルマだけでなくこうした集まりを続けてくれたHondaに感謝し、楽しい仲間と知り合う機会を与えてくれたNSXというスポーツカーの存在に心から感謝していた。
photo サーキットで行われるさまざまなデモランを、コンクリートウォール越しに間近に見られるのもfiestaの楽しみのひとつ。


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Hondaスピリットを熱く物語る一台、Honda F1のRA273が伝説を築いたエキゾーストを響かせて走った。コクピットには中嶋 悟氏。
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ル・マンカーを含むNSX GTマシンのデモラン。本番さながらのドライバー交代と目の前で展開されるバトルが見ごたえあった。
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NSXのイベントといえばドライビングメニュー。みなさん、もてぎをあちこち飛び回りながら、走りを楽しまれていた。
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レガッツオーニさんと参加者の土谷さん。障害を持ちながらもNSXの走りを楽しむお二人の笑顔は底抜けに明るい。

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NSX Press vol.26 2001年3月発行