

ついにこのときが来た。NSXのエンジンに新たな“ホンダチューン”が施されたのである。レッドゾーンのはじまる8,000回転まで気持ちよく伸びる自然吸気V6
DOHC VTECの小気味よさをそのままに、全域でトルクアップを図るべくボアアップにより3.2リットルへと排気量拡大が敢行されたのだ。さらに、インレットバルブの傘径を1mm上げ、バルブシートによりきめ細かな加工を施し吸気効率を向上。また、鋳鉄製だったエキゾーストマニホールドをレーシングエンジンなどで多用されるステンレスパイプに変更し、集合部までの長さを等長(つまりタコ足)に近づけて排気抵抗も大きく低減させている。こうしたチューニングはボアアップとともに欠かせないものであり、ホンダがNSXのために心血を注いだチューニングである。排気量アップした新エンジンの回転のツキ、伸びのよさにぜひご期待いただきたい。トルク曲線を見ると、4,000rpm付近でもっともトルクの厚みが増しており、中回転域重視と思われがちだが、高回転域の厚みも充分。6,000rpmを過ぎた辺りに再びトルクの山が訪れる。この高回転域の厚みが、黒澤元治氏にして「6,000rpmからの押し出しが違う」と言わしめているのかも知れない。
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