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NSXが発売されたときの発表会に、父親と参加したのがきっかけです。父が気に入ってしまい、発表会当日にオーダー。年が明けた’91年の1月に乗りはじめました。エクステリアはカイザーシルバーメタリック、インテリアはブラックレザー。AT車です。去年の12月が2回目の車検。普通ならここで買い換える人が多い。僕も車検を前にして考えましたが、いま、世界中を見渡してみても、正直いってNSX以外に乗るクルマがないんです。これは、消去法ではなく、候補に挙げようとさんざん考えてもないわけです。だから、乗り続ける。これは僕にとってすごく自然な行為でした。
フェラーリ348も持っていますから、たとえNSXがなくてもいいわけです。しかし、現実はまったく逆。フェラーリは別格といえば別格なんですが、サイズが大きくて街乗りには不便。駐車場に入らないこともあります。それに色々な面で無理を強いられ、乗っていて自信が持てない感じがするんです。たまに乗って楽しむのはいいんですけどね。その点NSXは、よくいえば乗りやすく、悪くいえばドライバーを自信過剰にさせるクルマ。それぐらい違う。普段に乗るクルマとして、僕は迷わずNSXを選びます。ポルシェも、体が大きめの僕にはドライビングポジションがいま一つしっくりこないし、ミラーの形状が悪くて後方視界があまりよくない。そんなわけで街中を飛ばすにはNSXの方が速い。ライトウエイトスポーツはあまり好きなカテゴリーでないだけに、本当に欲しいクルマがないわけです。
NSXは、大きくもなく小さくもなく本当にいい大きさだし、乗りやすくてその気になると速い。視界もいい。だから世界でNSXしかない。別におだてるつもりはないんですが、これが僕の正直なインプレッションです。
F-1の世界でも、マーティン・ブランドルがベネトンで走っている頃、NSXを持っていると彼から聞きました。彼は、「古いフェラーリなどを持っていたが、老婆はそれなりにしか走らない。それにくらべてNSXは近代感覚にマッチしているから好きだ」といっていました。ロータスのデザイナーだったジェラルド・ルカルージュや、デレック・ワーウィックもたしか自分で買って乗っていたんじゃないかな。とにかくF-1関係者にもすごく評判いいですね。
しかし乗り続けるとはいっても、5年じゃ同じNSXに買い換えるには早いし、車検を取ろうかと考えていたとき、たぶんDMだったと思うんですがリフレッシュプランの存在を知ったわけです。
特にこれまで不具合はなかったんですが、クルマには消耗する部品があるし、フロントのラジエーターのマウントあたりから少し音がするようだったので、また新車みたいになればいいなと。クルマは放っておいてもよくならないですからね。知り合いのジャーナリストに聞いてみても評判いいし、実際にやった人の話を聞いても感触がよかったのでさっそくベルノ店に相談しました。そうしたら、色々なコースがありましたね。でも、ずっと屋根つきのガレージで外装はきれいだし、シートや内装を担当営業の方に見てもらったんですがまだ大丈夫ということでした。どうせなら、ステッチを黄色か何かにして気分を変えようかな…とも思いましたが、まあそういう楽しみはもう少しあとに取っておいて、とりあえず基本リフレッシュと機能部リフレッシュをすることにしました。
機能部リフレッシュはフロント、リアのダンパー交換。基本リフレッシュは、ドアまわりのシールラバー関係の総取り替えと、エンジンのバルブクリアランス、サスペンションのアライメント調整。それだけでなくテストコースを走行してチェックを行い、さらに調整を加えるという徹底したもの。お願いするときに、例のフロントあたりの音と少しエアコンのモーター音が大きくなってきたことを工場の人に伝えてもらいました。
ゆっくりと車検までやってもらい、確か2カ月くらいだったと思います。待ってる間は、どうなって帰ってくるかと新車を買うときにはない楽しみがありましたね。
戻ってきたNSXを一目見た第一印象は、車高が高くなったな…というものでした。ダンパーがブランニューですから、なじむまで高くなるとの説明を受けてフムフムと…。乗ってみて感激!
フロントの音もエアコンの音もなくなっていて快適だし、新車のような初々しい脚になっていて妙にうれしい。まったく生き返ったような乗り心地でしたね。
リフレッシュのおかげであと3年は乗れるかなと思いました。これは、このクラスのクルマを買い換えることを考えれば、コスト的にもすごくいいと思います。それと、心なしかギアボックスのフィーリングまでよくなったような気がしました。
このあと、2〜3年乗っている間に、NSXにモデルチェンジがあれば買い換えます。もし、その間に生産中止になることがあれば必ず一言いって欲しいとベルノ店に頼んでます。そうしたら、今のままでももう1台注文を入れるつもりです。何しろ、世界でこのクルマしかないんですから。今僕の乗りたいクルマは…。
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