それは、次代への進化

1990年、NSXは、独自の思想で誕生した。その思想とは、ひと言でいえば「ハイパフォーマンスと快適性の高レベルでの融合」ということになる。いかなるドライバーでも緊張を強いられることなく、スポーツドライビングの世界を堪能できるスポーツカーたらんとすることだ。
快適性への融合とはもちろん、そこそこの仕上がりを意味するのではない。NSXは、現損するスポーツカーのレベルを超えるハイパフォーマンス領域でこれを達成すべく開発されたのだ。レベルを超えるには、存在するフィールドを決定しなければならない。NSXは、軽快でありながらパワーに物足りなさを感ずるライトウエイトではなく、豪快なパワーがありながらハンドリングに難しさのあるヘビーウエイトスポーツでもない。パワフルで優れた運動性能を合わせ持っているミドルウエイトクラスをフィールドとした。3リットルという排気量はそうして決められ、スポーツカーとして最も高い運動性能が得られる、ミッドシップ&リアドライブを選択。エンジンには、全域にわたりハイレベルでスムーズなトルクを供給すべく自然吸気とVTECメカニズム、チタンコンロッドが組み合わされた。さらに、ミドルウエイトのなかにあり、群を抜いた性能を得るために、超軽量かつ高剛性のオールアルミ・モノコックボディという先例のない開発にあえて挑み、成し遂げたのである。そして、NSX独自といえるミッドシップ、アルミボディ、自然吸気3リットルVTECというパッケージの完成をみた。


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NSX Press vol.15は1995年3月発行です。