戦闘機の技術としてDBWは生まれた
もともとDBWは、高度な信頼性と操縦性が求められる戦闘機のコントロールシステムとして誕生したものだ。それまで油圧や高圧空気を用いていたシステムでは、油圧ポンプなどがエンジンの出力を吸い取るうえ、軽量化をも阻む存在だった。それが、電子配線と電動モーターを用いるFBW(航空機では、フライ・バイ・ワイヤと呼ばれている)によって一掃されたのだ。当然、戦闘機は身軽になり、直接的な制御で操作性が向上したのである。NSXのDBWも、当然アクセルシステムの軽量化に貢献している。マイナスウエイトは3.0kg。この数字は、スポーツカーにとって決して小さなものではない。
FBWを最初に採用した実用戦闘機は'76年のF-16だったが、機械部品を減少させ、故障発生の可能性をも低減させるFBWは、今や航空機界で常識となっているだけでなく、完全電子制御に向けてさらに進化を続けている。
秀逸なシステムとして航空機に普及したFBWの思想は、自動車界の戦闘機的存在であるF-1マシンがいち早い導入を成し遂げている。'94年のハイテク禁止措置で現在は使用されていないが、こうしたDBWの由来を知れば、先進性、将来性のある技術であることがさらに確かめられよう。
また、こうしたメカニズムに詳しい方ならご存じかも知れないが、DBWシテムがクルマに搭載されたのはこれがはじめてではない。 しかし、航空機のFBWのように、ステップモーターでダイレクトにスロットルバルブをコントロールするものは世界でも先進であると記しておく。先に述べたTCSの進化や将来に通ずる制御の可能性は、デジタル制御でなければ考えられないのだ。
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