'95年に搭載された進化技術のなかで、まずは[DBW]について触れたい。DBWとは、ドライブ・バイ・ワイヤの略である。ワイヤは、電気的な配線という意味。つまり、スロットルを配線を介してドライブするということだ。その配線の先端には、スロットルバルブを駆動するステップモーターが接続されている。“単なるメカからエレクトロニクスへの転換に過ぎず、それほど違いがあるのか・・・”と思われるかも知れない。それは大いなる誤りで、スチール製ケーブルで引っ張っていたスロットルを、ワイヤ(電線)を介しモーターで駆動する方式に変えた意義は非常に大きいのだ。
ミッドシップの場合、アクセルケーブルの長さは数mに達する。それを踏力で引き込む従来方式は、いかなる設計を施してもケーブルのたわみ、伸び、摩擦抵抗の発生や経時変化などペダルフィーリングへの影響を絶つことはできない。しかしDBWでは、その心配がまったくない。ペダルはスロットルから機械的に解放されているため、設計時にペダルフィーリングを独立して煮詰めることができるのだ。つまり、文字どおり最良のペダルフィーリングを追求できる。今度のNSXのアクセルは、ホンダが考えるスポーツカー最良のペダルフィーリングに設定されている。その快いタッチは、一度ご自身の右足で確かめていただくしかない。
もちろん、快さだけではない。ペダルセンサーは、信頼性確保のため二系統でペダルの動きを感知する。また、デジタル制御により1/10度の精度で動くステップモーターの駆動軸が、スロットルバルブに直結されているため速く、正確に動く。その結果、レスポンス感覚も向上する。それは、右足がまるでスロットルに直結しているようなフィーリングと言えばいいだろうか。
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