1994年ルマン

スポーツカーのルマン、復活。
自動車の出現とともにレースははじまったといわれるが、ルマンはそのレース黎明期に誕生した、最古のレースの一つである。身近なスポーツカーの出走、24時間ロングディスタンスという異色のスタイルで1923年にスタートしたこのレースは、一時代、決して身近な存在とはいえないプロトタイプスポーツカーにその主役を譲りはしたが、24時間レース自体の“熱狂”はさめることはなかった。
'82年にCカーが生まれ、ルマンで時速400kmに迫る高速バトルが展開されてからも、日本を含めたワークス勢の争いは世界各国のレースファンを沸かせていた。しかし、'90年から '91年にかけてのCカー規定の変更で戦意をなくしたワークスチームのほとんどが撤退し、1992年の第60回大会には出走台数28台と、ルマン史上でも異例といえる“低迷”を経験することになった。
が、昨年、主催者のACOがGTクラスを新設。その新たなカテゴリーがエントリーマシンを集め、最終的には出走台数が51台に急増した。わずか1年にしてふたたびルマンは、“熱狂”の息を吹き返したのだ。身近なスポーツカーによるルマン復活である。そして、今大会は復活2年目。史上最多の83台がエントリー。出走は50台、そのうちGTクラスが35台を占める。復活したスポーツカーのルマンは、着実に新たな歴史を歩みはじめる形となった。
そして今年、フェラーリ348、ポルシェ911RSR/968、ロータス・エスプリ、ベンチュリ400LMなど昨年からGT2クラスで熱き闘いを演じているスポーツカーに加え、日本のピュアスポーツカー、3台のNSXが登場したのだ。新たな時代を歩みはじめたスポーツカー栄光の舞台に、NSXが迎えられた意義は大きい。


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NSX Press vol.14は1994年8月発行です。