Owner's Meeting SPECIAL イメージ

最もエキサイティングなメニュー しかも自身で腕を磨くためにある
イメージ 南コースレッスン:NSXでは、ローとセカンドで十分なほどのショートなコース。しかし、いかに速く走るかという基本を安全に身につけるには打ってつけのコースと言える。エスケープゾーンの幅が狭いS字などを注意すれば、比較的安全でタイトコーナーの続くテクニカルなコースだからだ。
グループを2つの組に分け、約10分交代で4セットも走り込めるこのコースのメニューは、自由に走らせてもらえるので、自分なりにテクニックを磨くことができる。そして、あの難所の宝庫、ニュルブルクリンクを走らせたら右に出る者はいないという世界トップレベルのテクニックを持つ黒沢氏が、オーナーの走りに適切なアドバイスをくれる。まるでナビシートに乗ってドライビングを見ているような適切なアドバイスは実に有意義である。
コーナーへの進入角度、クリップをどこに取るか、いつからどれくらいアクセルを開けはじめるか…。そういったポイントをコーナーのRと速度に応じて体で判断できるようにするのがポイント。また、リアが滑り出したときのステアリングの反応の仕方、S字など複合したコーナーでは、アウト・イン・アウトの原則が通用しないことなどもわかってくる。
この南コースを見る限りでは、かなりオーナーのテクニックレベルが上がってきていると黒沢講師と上原開発リーダーは語っていた。希望される方には、周回タイムも計測してくれる。上達のひとつの目安になるだろう。
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南コースを1セット走り終え、言葉を交わすオーナー諸氏。こうした交流でレッスンがまた盛り上がる。

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NSX-Rで南コースを攻める舘内氏。オーナーとともに終日、レッスンメニューを堪能された。
まずはブレーキング、そしてクリップにつけるか、
スムーズに立ち上がれるか…

フルコース/西コースレッスン:サーキットを華麗に駆け抜けるほどレベルの高いテクニックは、そう簡単に身につくものではない。フリーのサーキットランを行ない、本人がコーナーのクリップを取っているつもりでも実は1メートル以上も離れていたり、ブレーキングも通常の走行と変わらないぐらいの踏力で繰り返しているのでは上達は望めない。まずは、プロドライバーのライン取り、クルマの動きを掴み、そのフィーリングを体に覚え込ませるところから始める。そうすることが、上達を早めることにもなるだろう。

このスペシャル・ミーティングのサーキットランも、目的をそこに置いている。清水講師の駆るNSXに続き、ハイテクニカルなこのコースをいかに攻めるかを修得していただきたい。

サーキットを速く安全に走るには、まず姿勢をニュートラルに保ったまま、いかに短い距離で速度を落とし、適正スピードでコーナーに進入できるかにかかっている。速い速度からフルブレーキを踏む勇気と感覚を身につけなければならない。そして、コーナーのクリッピングポイントを探しそこに正しいラインで確実につき、どれくらいのタイミングと開度でアクセルを開けていくのか…という基本要素を学ぶレッスンだ。
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サーキット・ランのポイントを講義する清水氏。安全にドライビングを楽しめるよう、真剣に基本事項を確認する。

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パーティー会場に展示されたADAC GT-CUPカー。コクピットに人気が集中した。ご家族で参加される方も多かった。
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フロントサスをボトミングさせながらジムカーナコースを攻めるオーナー。クローズドコースだからチャレンジできる、アグレッシブドライビングである。

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高速でなくとも限界には到達できる
一線を超えた挙動を熟知して欲しい

ジムカーナレッスン:この競技は、広く安全な場所にパイロンで仕立てたコースを作りタイムを競うものだ。しかし、実際のレッスンでは、タイムというよりも、NSXを暴れさせることにまずはトライ。せっかく機会を得た広い安全な場所で、おとなしく走ってはつまらない。スピンターンではきちんとスピンさせ、直角ターンではリアが滑り出すぐらいの(パワーではなくスピードで)頑張りを見せたい。クルマが、グリップの限界を超えたとき、どのような状態に陥るかを知っているか否かは、パニックに出合ったときの対応力に格段の差がつく。是非ここでもがいて、何かを掴んでみたい。

恐らく、はじめは慌てるだけであろうが、徐々に落ちついてカウンターなどを当てられるようになり、上達すれば限界状態を保ちながらコントロールできるようになるだろう。そうした状態に慣れれば、サーキットでクルマが滑り出す瞬間を察知できるようになり、そこでいきなりアクセルを離すとどうなるか、踏み続けるとどうなるかを予測し、適切に対処できるようになる。
このレッスンで大切なのは、周囲の目を気にしないでもがくことができる勇気かもしれない。


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NSX Press vol.13 1994年3月発行