NSXで闘う
イメージGT-CUPレースはまだはじまったばかりであるが、観客動員数は第2戦が20,000人、第3戦が12,000人、第4戦が5,000人、第5戦が15,000人、第6戦が20,000人と発表され、幸先よいスタートを切った。今まで成り行きを見守っていたチームのエントリーも、次第に増えていくことが予想される。ミツビシ3000GTやスープラの出場も噂されているし、DTMからの鞍替え組もありそうだ。このレースの面白さはワンメイク・レースでは見られない、マシーンのバラエティにある。高性能スポーツカーをサルーンがやっつけて、観衆から喝采を浴びたり、やっぱりスーパーカーはたいしたものだと納得させられたり、一見して同列に競争させてはいけないように見える車同士の戦いが見物なのである。
サーキットで見るNSXは、ひときわ目を引く存在だった。先ほども述べたが、明かに低く滑らかなボディは、オーバーフェンダーが勢いよく張りだしたマッチョマン的なマシンが多い中にあっては非常に優雅であった。
イメージ そして今後、このGT-CUPレースをさらにコンペティティブなものとするために、NSXのポテンシャルが大いに発揮されるためにも、レギュレーションが守られることが大切なことは言うまでもない。レースでは、誰もが、真剣に闘うマシンが散らす火花に、本当の感動を覚えるからだ。今回レポートした第5戦を終えて、M3を駆るチェコットにチャンピオンシップポイントのリードを奪われる形となったが、依然、NSXとシリーズをかけた一騎打ちは続く。大いに夢を託したい。やはり、レース発祥の地欧州で、日本のスポーツカー史のなかに何かが刻まれると思えるからだ。
(取材・構成:ささめ じろう)


Power & Weight modification
ホンダR&Dヨーロッパ・ドイッチェランドレーシングNSXの技術サポートを行うホンダR&Dヨーロッパ・ドイッチェランド。ADAC GT-CUP担当のスタッフは、週末毎にヨーロッパ中のサーキットへ足を伸ばすという。『やはり、ホンダのレーシングスピリットを象徴するクルマですから、NSXには力が入ってしまうんです』と意気込みを語ってくれた。


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NSX Press vol.12 1993年8月発行